いやぁ、びっくりしました。
母の葬儀の手筈を整え、一度千葉から帰宅しました。
ひとまず目処がついたので、自宅近くの行きつけ「一徳家」でビールを飲み始めたら、急に涙腺が崩壊してしまい、１時間半くらいずっと泣いて飲んでました。スタッフのえみちゃんびっくりしたよね…ゴメンなさい。妻が事情を話してくれて分かってくれたのだと思います。

飲んで、泣いて、泣き疲れて寝て。変な時間に起きてしまいました。

昨日は母の葬儀の準備をしに千葉の家に行っていました。施設に入っている95歳の父は葬儀への参列は厳しく、喪主は私ということになりました。

葬儀の会場で展示する母の思い出を探して、実家で久々に多数のアルバムを繰りました。

晩年。母は足が弱くなり動けないことが多くありました。
耳が遠くなった父は、動けない母を嘆くばかりだったそうです。
普段は対立したり断絶したりと大変だったそうだけれど、私たち夫婦が来た時は楽しそうに仲良く過ごしていたのは「息子夫婦に心配かけないように」していたのかもしれません。

老人になってからの普段の様子は、実家で世話をずっと続けてくれていた弟から聞いていたので、正直「この夫婦は結婚したことを後悔していたのかな」とか「我々が生まれてしまったことで不本意な人生を歩んだのかな？」とも思ったりしました。

そもそも兄＝私も弟も、大変残念ながら親の期待を１２０％裏切って生きてきました。そういう意味でも果たしてこの夫婦は幸せだったのだろうか？と、実は大人になってからはずっと申し訳ない気持ちで一杯でした。

で。

昔の写真を整理していたら、父と母の結婚当時の写真が出てきました。それはそれは幸せそうな顔をしてるじゃないですか。新婚旅行の熱海へ出かけるときの写真の父は「こんな表情するんだ」と思うほどの笑顔。後ろ向いていてもわかる母の笑顔。嬉しくて仕方ないのがわかりました。

新婚当初の団地で撮った写真も、穏やかな笑顔で幸せそう。この写真を見て、私はずっと涙腺が崩壊しています。良かった。少なくともこの夫婦は結婚して幸せだったんだなと確認が出来たからです。

お爺ちゃんお婆ちゃんや親戚との写真も多数出てきて、何だかんだ家族の写真も結構ありました。私たちは幸せな時間を過ごしていて、そして両親から愛されていたこと、家庭が安心出来る場だったことが本当に分かって、涙が止まらなくなりました。何だか、幸せな家族だったことを確認できた気がして、なけてきたのです。

実は、私の結婚の話を進めている時に、妻の家の意向がなかなか汲み取れずに両家顔合わせが上手くいかなかったことがありました。妻は立場をなくして悲しみに沈み、私もどういうことなのかわからずに混乱していた時に、明るく主導権を握って話を進めてくれたのは母でした。

「大事な息子の結婚を壊してなるものか」

そういう強い思いがあったのだと思いますが、明るく笑って二人を絶対凹ませないという強い意志が感じられました。そして絶対的に私たちの味方であることも。

そういう愛を受けて育ってきたのは40歳ちょっと手前で結婚した時ですら一緒。
そういう母でした。

妻が、母の今際の際に
「あなたがいなかったらこの人と結婚できていませんでした」
と感謝の言葉を言ってくれたのも有り難いことでした。でも、母はきっと、
「えっ？何のこと？　私は知らないよ！」
と笑ってたことでしょう。

祖父母の眠る小石川・善光寺さんにお経をあげてもらう依頼をしたのですが、昨年若住職に代替わりをしたばかり。でも、ご都合が悪かったようで、図らずも大住職が来てくださることになりました。私は長年慣れ親しんだ大住職にあげて頂きたかったので、図らずも望みが叶いました。お墓も、善光寺さんの祖父母の近くに建ててあげるようにして、将来私たちもそこへ入ろうと思います。また楽しくて賑やかな家族と親戚に囲まれるように。

そう遠くない将来、父も行くでしょう。95歳。健康ではありますが、老いには逆らえない。結局母がいないと何もできない人だったので、そう遠くない未来、追いかける気がします。まだ体が元気なうちに会いに行かなきゃ。

「意外に実感ないんだよなぁ」
なんて言ってたのですが、まさかビール一杯で涙腺が崩壊するとは思ってなかったので、自分でもびっくりしました。
「オレ、こんなに泣くんだ…」
って思いました。

きっと、母が亡くなったという事実や悲しみに泣いているのではないですね。

「実は幸せな家族だったんだ」
という実感に、涙が止まらなくなったのでしょう。父母の愛をいっぱい受けていたということを再確認して泣いた、そういうことなんでしょうね。

喪主は泣いてられないので、早めに涙涸らしておきます。

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