フィリピンに友人がいました。
Joselito Orale。
私たちはLITOと呼んでいました。

彼との出会いは1999年。
初めてマレーシアに行った時でした。彼はRenaissance Hotelのベルボーイでした。
当時はまだ「出稼ぎ」外国人が表に出ている状態だったので、フィリピン人もマレーシアでホテルの仕事などができました。今はだいぶ規制があるようで。

LITOは気のいいやつで、ニコニコしていたので、夜一緒に飯を食いたいからガイドしてくれよと頼んだら、まぁいいお小遣い稼ぎになったのでしょう、付き合ってくれました。その時はオッサン3人。別に悪いことはしてません！（笑）　普通に腹一杯食って、飲んで、ホテルへ帰ってきただけ。でも面白かった。最後にチップを渡して終わり。

帰国の日に、「また来るからね」と別れました。

半年後。私たちはまたマレーシアにいました。
そして、Concorde Hotelに泊まっていたにもかかわらず、わざわざRenaissanceまで行って、「LITOいる？」って探しに行ったのです（笑）いました。

その夜もご飯を食べて、飲んで、遊んで、ホテルへ帰ってきたので、チップを渡そうとしたら「もういい」と。友達だからと。

聞けば、フィリピンから単身で出稼ぎに来て一人で暮らし、友達もなかなか出来ず寂しかったとか。日本からわざわざ自分を訪ねてくれる人がいたことに感動して、もう友達だからと言い出したのです。同行していた先輩が「家族のために」と少し渡して、彼が涙を流していたのを覚えています。

次の時も彼を呼び出しました（何回行ってんだよ！）
で、その時はカラオケも行きました。面白かったなぁ。
でも、その時、彼はBilly JoelのHonestyを歌ったのです。号泣してました。私たちを友達だと、ずっとずっと言っていました。そうやって、不思議な友達関係が出来ました。その後も何度かマレーシアで会ったのですが、後に彼はマニラに帰ります。

先輩は、フィリピンまで彼を訪ね、感動したLITOは、当時生まれた娘に先輩の奥様の名前「Junko」をつけました。もうその子も成人して、可愛らしいお嬢さんになっていました。モデルか何かをしていたかと。

私はずっとメッセージのやり取りばかり。ただ、台風で大打撃を受けた時に、家の修復費を少し支援したり、奥様が病気で亡くなった時は何度もやりとりして慰めたり、頻繁にやり取りはしていました。奥様が亡くなってからというもの、寂しい寂しいと言っていました。

そして。
19日。その先輩から、LITOが亡くなったと連絡があったのです。奥様の元に行ってしまったのですね。寂しかったことでしょう。もう子どもも立派になっているので大丈夫なのでしょうが、早すぎます。私の１歳下。55歳でした。

私。
正直なところ、忙しいのもあってなかなか彼とちゃんと話ができたり、会いに行ったりは出来ていませんでした。仕事でも落ち着いて余裕が出来たら、彼を訪ねてフィリピンへ行ってみようかなんて話はしていました。つい最近も、フィリピンの英語研修なんて話が出ていた時に「マニラ郊外に友人がいる」という話をしていたばかり。久しぶりにLITOと遊ぼうかなんて考えていたところでした。

まさかね。
逝ってしまうなんて、考えてもいませんでした。
マニラに行くチャンスはかつてもありました。でも、何となく流してしまったのは、多忙だという理由だったり、何となく「いつでもまた会える」という感じだったから。

会えなくなっちゃいました。

会える時に会いたい人には会っておかないと、こういうことが起きるのですね。改めて、会うべき人には、思い立ったが吉日で会っておいたり連絡を取ったりしようと思いました。まずは父親だな。また会っておかないと。

LITO.
Rest in peace, my friend.

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