塾は勉強だけ教えればいい。
そう思っている人は多いでしょう。
私も以前は、自分は教育者ではなく、「受験屋」だと思っていました。だから、成績上げてナンボ、余計な根性論とか精神論を語る講師は大嫌い。そういう人間でした。若かりし頃ですね。イッパシの人気講師気取りで、いくつもの塾を掛け持ちして、また渡り歩いて、自分を一番評価してくれるところに行く…などとカッコつけていたものです。
しかし、全員の成績を上げることが出来ませんでした。自分のことを気に入ったり、面白がったりしてくれた生徒は成績も上がりましたし、喜んで教室にきてくれていました。しかし、その場にいる全員の生徒の成績を上げることは出来ませんでしたし、むしろ出来ない子の成績を上げることが出来ませんでした。パフォーマンス授業の限界を知ったというか、何とも言えない敗北感を味わいました。いや、最初はそんなこと感じもしませんでしたし、「ついてこないオマエが悪い」くらいのことを思っていましたが、やればやるほど、その出来ない子が気になって仕方ありませんでした。
出来る子と出来ない子、結局何が違うのかといえば、それは唯一つ、「マインド」です。出来ない子は「マインド」を変えることが何よりも重要なのです。しかし自分は出来る子のご機嫌取りのような授業しかしていませんでした。
「ウチの子はやる気が無い」「やる気を出して欲しい」と多くの保護者が言います。多くの先生も言います。しかし、それに対する具体的な方策は取れていません。やる気を出す、それはつまり「マインド」を変えるということ。
「ボクは頭が悪い」と思っている子には、「それほどでもない」と思わせること、「やってもどうせ出来ない」と思っている子には着実な成功体験を、「めんどうくさい」と思っている子には、困難を乗り越えるべき理由が存在していることを説き、徹底的に子ども達と議論に近い話をすること、それが何をおいても重要ですし、その話の中で子ども達の「勉強」「生き方」「プライド」「理想」に対する考え方を形成していくことがとても大切なのです。
しかし、それには仕掛けが必要です。いつものやり方や話じゃダメです。ですから、イベントや合宿などを通じて、場所や雰囲気、シチュエーションを変えて、また寝食を共にしたりしてしっかりと話をしていく必要があると思います。辛い体験をしたり、楽しい体験をしたり、そんな中でポツリポツリと話をしたりすることも重要なのです。
じっくりと諭し、様々なシチュエーションで話を聞かねばならないことが多々ありますが、我々はそれを厭わず、子どもの「マインド」をしっかり「前向き」なものとするために、あの手この手で生徒と体当たりの指導を繰り返しています。
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