急がば回れ

seigakuin左の図において、三角形AFEの面積を求めなさない。
(聖学院中学校)


「何でこんな問題解かなきゃいけないんですか」
「こんなの役に立つんですか?」

 勉強から逃避したい子(場合によっては大人も)の常套手段。それがこの「役に立つのか」という問いです。結論から言えば、こういう図形の問題を解けたからといってスーパーで得をすることもないでしょうし、直接的に仕事が出来るようにもならないでしょう。当たり前です。

 勉強は「即戦力の、明日からお金が稼げる技術」ではありません。言ってみれば、ある種の「能力開発」というところ。ですから、算数・数学が出来たからって明日から職にありつけるわけでもなく、お金儲けが出来るわけでもありません。それを「無駄だ」「役に立たない」と断言してしまう人間は、「人の能力開発よりも目先の金」という、少々短絡的なものの考え方しか出来ない人でしょう。

 図形の問題は、ものごとを様々な角度から見るという「訓練」です。ですから、一方向からばかり見ていてはいつまでも解決はしないのです。逆さまにしてみたり、思わぬところで思わぬ法則・公式を使ったり。

 この問題も、一見易しそうで、点数が取れる問題だとは思いますが、やってみると実は少々難儀。しかし、あれこれやってみるうちに、実は簡単なんだと気付き始めます。考え方が二転三転するのではないでしょうか。

 まず、ABCDの四角形が8×8で64㎠。辺ADを底辺とすれば三角形AFDは面積は8×8÷2=32 ㎠ となります。三角形AEDは辺ADを底辺として高さ6cm。8×6÷2で24 ㎠。

 三角形AFE=三角形AFD-三角形AEDとなります。つまり、35-24=8。答えは8 ㎠ となります。

 図形の形から、つい「比を使って解くのかな?」などと思ったり、台形の面積を求めてみたりと、いろいろ遠回りをする子もいるでしょうが、その過程を踏むことで、徐々に問題の核心に素早くアプローチすることが出来るようになります。解いてみれば、単なる面積の引き算だけ。なんということはない問題です。

 「急がば回れ」ですね。

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