条件を緩めればいいわけじゃない

ちょっと古いデータですが、昨年11月時点での大学生の就職内定率は73%。高卒で68%。悪化幅は最大だったそうです。今年は震災の影響でかなり苦しいようですが、そもそも採用をやめてしまった会社などもあるので、大学生たちも、「今年は無理かな…」というムードが流れているようです。

しかし、このデータもちょっと考え物。
Fランクなどと言われる大学の学生がかなり増えたわけで、今や大学進学率は51%。世の高校生の半分がどこかしらの大学へ行く時代ですから、名もない大学もかなりあります。「それどこにあるの?」「何勉強してきたの?」そういう学生もかなりいます。

私たちの頃、大学に行かない人がやるような仕事は、今人手不足で困っているわけですから、この就職難もおかしな話です。勉強はせず、能力も磨かないけど、「自分に合った仕事」があるはずだとモラトリアムを続けている人間も結構な数いるはず。きちんとした大学の就職率はそこまで低くない気がします。

いつの時代も力のある人材は、あぶれることはないと思うのですが…

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「じゃあ、自分たちでなんかやればいいじゃん」
と言うと、最近の大学生は、「ドン引き」するそうです。「起業」などと言われると、引いてしまうんだそうですよ。どこで誰に習ったのかは知りませんが、「リスクを取らないことが賢いこと」だと思っているフシがあります。

若者の起業などのハードルを下げることが目的で、有限会社の特例が出来たり、その後現在では会社法が改正され、株式会社が1円の資本金から作れることになっています。私が千葉で運営していた有限会社の資本金は300万円。当時株式会社は最低資本金が1000万円でした。

ハードルを下げてあげたら、若者がどれほど起業し、ベンチャーが乱立し、どいつもこいつも社長にあこがれるかと思いきや、学生は「ドン引き」し、意欲を失い、寄らば大樹の陰。下手をすると公務員が憧れの職種になる勢い。ハードルは乗り越えるためにあるわけで、誰でも乗り越えられるようになったら、それはハードルではなくなります。何でもハードルを下げれば物事が活性化すると思っている人がいますが、それは大いなる勘違いです。

教育も同じだったではないですか。
ゆとり教育で学習内容を思い切り減らし、「昆虫は3種類以上教えてはいけない」「円周率は3で教える」「小数点第2位以下は教えない」などという決まりを作って、誰でもわかる勉強を目指して教育を施した結果は、意欲のない子、勉強しない子、何も知らない子を増やしただけだった気がしませんか。だから今学力回帰傾向にあるわけですよね。

ハードルを下げればいい。
そう考える人たちの間違いを、どんな場面でも見破らなければいけません。一見正しいように見えるのです。しかし、ハードルを下げたら全員そのハードルを越えられるかと言えば、やはり越えられない人はいるわけですし、高いハードルを目指していた人の意欲は削がれます。結果的に全部がダメになる。

条件を緩めればいいわけじゃないのです。
桜学舎は、漢字テストや計算テスト、英単語テストの合格点も、合格期日も、基準も、一切緩めることはありません。
「先生、キツいですよ…」
と泣き言を言われることもありますが、だからと言って緩めることはありません。それは、条件を緩めたらテストに毎回合格でき、成績が上がって、学習意欲が増すわけではないことを知っているからです。

学校でも、ご家庭でも、単に「条件を緩めただけ」になっていないかをしっかり検証しないと、子どもはなかなか育たないと思います。
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