家庭科は大事

 中学学習科目9教科のうち、どうしても主要5教科が大切で、残りの4教科(体育・音楽・美術・技術家庭)はオマケみたいな扱いになっています。その中でも体育は部活動などに関わることが多いのか、何となく地位が高いように思いますが、音楽・美術・技術家庭の扱いはどうしても軽く、これらを担当する教員もまた、一格下のような印象を持たれてしまっているというのが実際のところでしょう。

 しかし、私は最近これらの科目、特に家庭科の大切さを感じるようになりました。あえて家庭科と言わずとも好いのかもしれませんが、家庭科で習うようなことがきちんと出来ていることが大切だと思いますし、そんなことも出来ずに英数国理社の知識だけを誇ったとしても、実際使い物にならない不完全な人間にしかならないのだと感じます。いや、裏返せば、勉強が本当に出来る子は、家庭科で習うことなど当然のように身に着けているということなのです。

 つい先日、義父が病院で検査を受けたところ、中性脂肪が高くなったという結果が出ました。義母が亡くなり、一人で暮さねばならなくなったからなのでしょうが、やはり男の一人暮らし、どうしても食生活のバランスが悪くなります。ご飯に漬物に味噌汁程度で終わらせてしまうことも多かったようで、よく検証してみるとご飯ばかり食べていたようです。
 家庭科では、炭水化物のほか、たんぱく質、脂質の3大栄養素があり、それらをバランスよく食べる必要があることを習いますし、三角食べのように、習慣的に「ごはん」→「おかず」→「汁物・飲み物」とバランスよく食べることを学びます。ご飯ばかりでお腹を満たしていては、健康を害するばかりか脳に栄養が行き渡らないことにもなります。ましてや成長期の子どもでしたら、体の成長にも大きく関わってきます。

 食生活ももちろん、生活習慣や家族のあり方など、人間として重要なことが結構家庭科には出てくるものです。家庭科実習で料理を作る時は面白がってやる子がいますが、座学として教科書学習となると居眠りをしている子も結構多いのではないでしょうかね。
 私は折にふれて受験生に対して、「食生活の重要性」や「生活リズムの重要性」を必ず話しますが、この時には、「ためになる話を聞いた!」という表情の生徒がほとんどです。「これって家庭科で習うだろう?」と聞いても、Yesとはなかなか返ってきません。

 睡眠にしても、多少眠くても1日や2日、大したことではありません。すぐ「体を壊すといけない」とか言って大事を取らせる大人がいますが、桜学舎の合宿でも分かる通り、多少無理しても大したことはありません。というのは、人間は「寝貯め」は出来ませんが、「寝て回復」は出来るのだそうです。ですから、普段から寝貯めと言って寝てばかりいても、いざという時には何のプラスにもなっていないわけです。しかし、睡眠不足を解消するために長めに寝る、休息を取るという行為は有効。つまり、ちょっと眠くなったからといって大事を取る必要などありませんし、甘えさせちゃいけないということなのですが、本来こういうことも家庭科で教えてほしいですよね。

 家庭科で学習することは、巡り巡って「学力」のところへ影響してきます。こういう生活面がきちんと管理できていないのに、ペーパーテストで点数を取る事だけが優秀な人間だと思っている「勘違いさん」が、見ていて一番痛々しいわけです。
 音楽や美術、体育はセンスと技量に個人差があり過ぎるため、これを一律の実技や試験で評価するというのは如何なものかと思いますし、ある意味不公平だとも思います。
 しかし、家庭科は人間として当然なことや、生き方考え方を学ぶ重要な科目です。

 是非、家庭科を大切にして頂きたいと思います。

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