ちと、カチンと来たことがあったので、今日はちょっとネガティヴな記事かも知れませんが、お許し下さい。
最近、面談期間ですから、ほぼ毎日お母様方とお話をしています。受験生のお母さんとお話していると、学校の先生の言動も伺い知ることが出来ます。もちろん、塾の我々の言動も、きっと学校の先生へ伝わっているのかもしれませんが、私達も結構知っていますよ(笑)
面談の際によく聞かれる言葉があります。
それは、学校の先生が、
「なるべく上位の学校へ行けと、まぁ、塾は大抵そういうこと言うんですよ」
というような趣旨の発言。今年ももう何件も聞いています。ああ、また言い出したな…と私達は思いますが、その裏には、
「塾は合格実績が欲しいから、なるべく上位へ行かせようとするんだろう?」
という揶揄があるのだと思います。
これ自体がそもそもの大きな誤解であり、本当にマーケティングや商売というものをご存じないのだなぁと笑ってしまいます。都内全体で合格数を誇るような大手塾ならばいざ知らず、桜学舎のような地域密着の塾にとって、合格実績というものはさして重要なファクターでもないのです。ズバっと言ってしまえば、どんなに上位の学校へ合格者を出したところで、翌年生徒がドカンと増えるわけではないのです(笑) こういうことをご存じない方が、「塾はどうせ合格実績が欲しいのでしょ?」なんて言い出すわけですね。
世の中、鋭敏な観察力を持った方ならば、世の個別指導塾が合格実績を全くと言っていいほど掲げていないことに気づくでしょう。これだけでも個別指導塾にとって合格実績が「集客」のファクターになっていないということを如実に示しています。ですから、我々がする進学指導において、合格実績が欲しいがために上位校への進学を強力に勧めるということは全く無いのです。
が、やはり「塾ってそういうもんでしょ?」と、あまりご存じない方、先入観でものを見てしまう方、固定観念にとらわれ、古い情報が更新されていない方はそんな風に言ってみたりしてしまうわけです。一体私達の何をご存じなのか…(笑) 私達のような地元の塾にとっての生命線は、「地域で一番その生徒のことを真剣に考え、徹底的にその生徒のための指導をすること」でしかありません。
確かに、私達は可能であれば上位の学校へ進学した方がいいですよと指導する場合もあります。その理由はただ一つ。
「環境」
です。この「環境」は、自然や設備などという物理的なものではありません。私は「友人」だと思っています。高校時代は、先生に影響されることよりも、友人関係から学ぶことが多々あるのだと思います。私はそうでした。知的レベル、好奇心、そしてやっていること、目指していることのレベルが自分と対等、もしくは回りの方が上だという環境、つまり友人を尊敬出来、自慢できるような環境、そして触発されて自分も頑張ろうと前向きに努力するようになる環境に身を置いて欲しいと、生徒達には思います。自分と周囲とのギャップが大きいというほど不幸なことはないでしょう。だから、なるべくよい「環境」に身を置いて欲しいので、「上位へ」と言います。
学校の進路指導では、無理して上位へ行くよりも、ほどほどの学校へ… という指導が多く見られます。学力的に余裕があって、大して努力もせずに上位をキープして、推薦試験で大学へ行くという手が一番賢いとも言われます。しかし、果たしてそうでしょうか? 高校時代に努力をしないことが賢い? 推薦試験で大学へ行くことが賢い? 申し訳ありませんが、私にはそんな指導は出来ません。そして何より、高校は下へ行けばいくほど、ロクな指定校推薦を持っていませんから、そんな風に高校へ進学して、いざ大学を受けたいという時に推薦のラインナップの蓋を開けてみたら、行きたい大学なんてひとつもない… こんな話はしょっちゅう出てきます。
何も無理な学校へ行けとは言いません。実績を稼ぎたい為に受かりもしない上位校へ「特攻受験」させるなんてもってのほかだと思います。しかし、実力より下、楽して学年上位が稼げる学校へ進学せよということは、「普通の大人」として、また大切な未来のあるお子さんを預かる身として、私の口からは言えません。
「塾は大抵そういうことを言うんですよ」
という言葉には、きっと嘲笑と蔑みが含まれているように感じます。でも、その言葉はそっくりそのまま学校へお返しします。
「学校の先生は大抵そういうことを言うんですよ」(笑)
どちらが真剣に一人の子の人生を考えているかは、お読みになった方がそれぞれご判断頂ければいいことですし、塾如きが何様のつもりだとおっしゃる方もいるでしょう。それは甘んじて受け入れましょう。しかし、私は学校の先生がどのようなことをお考えなのかも、一端はよーく存じているつもりでいます。何せ、教員の家庭の息子ですから(笑) そして、教員の友人も、教員の仲間も、教員出身の塾長仲間もいますから。一端ですが、分かっているところもあると思っています。
塾なのに、数多くの同窓生が集まる機会があったり、私の家に集まる子達がいたり、一緒に仕事がしたいと大人になってからもやって来たり、人生に迷った時に会いに来てくれたり、若い人生の半分以上の年数塾に通ってくれたり… 世間一般でいう「塾」と桜学舎は全く別物なのかもしれません。普通の塾ではないのかもしれませんし、もしかしたら世間一般ではなかなか理解しがたいコミュニティが出来ているのかもしれません。
しかし、私に限らず、副塾長、教室長、教務主任、以下スタッフ皆、ごく当たり前の一人の人間として、普通の社会人として、お父さん、お母さんとして、そしてそこらのオッサン、オバサンとして、もし自分の子だったらどうするかという基準で一人一人の人生に向き合っています。「教育してやろう」なんて不遜な態度(最近の言葉で言えば「上から目線」というのでしょうか)で教育者面をしているわけではないのです。よく言うじゃないですが。
「先生と言われるほどの馬鹿でなし」
ね。
入会案内や、チラシなどにも書かせて頂いていますが、
「塾の手柄は要りません」
合格実績は、たまたま頂くだけで結構です。そして「どうだ!桜学舎のおかげで受かったんだぞ!」とは発表しません。「合格おめでとう!」と書いてあります。それが桜学舎の姿勢なのです。是非、桜学舎の姿勢を、ご理解頂けたらと思います。
なお、そういう塾があることを認識して頂いている先生、「同じよう
に考えているんだよ」という先生が多数いらっしゃるのも重々承知しています。ご不快に思う点がおありだったと思います。お詫び申し上げます。ただ、あまりに毎年同じ事例が出て来るので(もっとも、ある程度出処は特定されるのですが…(笑))、ちょっとカチンと来たものですから。
こんなことでカチンとしているようでは、私もまだまだ人生修養が足りないのだと反省はしておりますが…(笑)
これからも、一人一人を大切に、頑張っていこうと改めて思います。
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