それはね、一番やっちゃいけないヤツです!

子どもというのは、実に正直な生き物です。
それほど「大人の事情」とか「建前と本音」というものを理解出来ていませんから、かなり我々には正直に何でも話してくれます。それがいい面もあり、また幼いがゆえにダメだ面もあるのですが、結構ご家庭の様子を垣間見てしまうことがあります。

26年もこの仕事をしていると、延べ2000人以上の教え子がいる計算になるのですが、それだけの保護者を見て来ると、いろいろなことが分かります。いくつか「それやっちゃダメなヤツです!」ってのを挙げてみると…

①「塾代高いんだからね!」「ウチはお金無いんだから!」

よく聞く言葉です。間違いありません。塾というのはかなり高額なお買い物です。ですから正直、こう言いたくなる保護者の気持ちも分からなくはありません。しかし、子どもにしたらどうでしょうか。例えば中学受験生でも、こんなことを言われてもポカンとするのではないでしょうか? そもそも受験をするかしないかは親が決めたことでしょうし、どこの塾に入れるかを決めたのも親御さんです。もちろん本人の希望もあるでしょうが、だからと言って思ったように成績が伸びなかったり、もっと真剣に勉強して欲しい親の希望を、塾代が高い、ウチには余計なお金はない…と、お金で責めても実感はありませんし、正直これは昔から数々見ていますが、子どもには全く効果がない𠮟り方なのです。でも、かなりの確率で保護者がやってしまうダメなパターンなんですよね… こういうことを言われた子どもは、「ウチは貧乏なのか…」「受験を決めたのは親なのに…」「お金のこと言われても…」大抵こんな反応で、親の愚痴を言いまくるのが関の山。これはNGです。

②「成績上がらなかったら塾を辞めさせる」「違う塾に行かせる」

これも、親御さんはハッパをかけるつもりで言っていることがありますが、これこそ全く効果のない「脅し」です(笑) 勉強が嫌いで、勉強が出来ない子どもからすれば、塾を辞めさせられるということはある意味ラッキー。勉強しなくていいなんて言い出したら、もう楽園気分です。かつて「塾に行かせているのにこんな成績じゃ…」とおっしゃった方もいましたが、果たしてそうでしょうかね。塾に来ていたからこそこの成績で済んだとも考えられますし、そう言って辞めて行った方も過去にはいますが、後々良かった話を聞いたことがありません。具体的なエピソードは山ほどありますが、むしろ私達が悲しくなる報告が時々飛び込んでくるものです。私達はもちろん結果も重視していますが、「過程」を見ていることが多々あります。確かに今回は点数にならなかったかもしれないけれど、だいぶ途中式が書けるようになった、英単語を覚えられるようになった… そういう点数にならない成長は沢山あるんですね。それを点数だけ見て「ダメだ!」とは、なかなか現場の人間としては言えません。ですから、それで退会したり転塾されるというのなら、それはお引き止めもしないことにしています。私達は、生徒の点にならない成長まで見ているという自負がありますので。そしてほぼそれは26年間、私達が正しいという実績を積み重ねて来ていますので。

③「頑張りなさい」「もっとやりなさい」「結果を出しなさい」

これはもちろん言い方、やり方次第なのです。ですが、プレッシャーになってしまうと全くもってダメパターンに陥ります。「何でテストになると点数取れないの?」「何でもっと頑張れないの?」と責めても、ほとんどの場合効果がありません。実は、お父さん・お母さんのこういう言葉が余計なプレッシャーとなって、子どもの緊張を生んでいることは多々あります。特に真面目な子や、親の期待に応えようとする子は要注意。更に言えば、上のお子さんが優秀だと下のお子さんがこうなることが多々あります。上のお子さんに負けないように、親の視線を自分へも向けてもらおうと必死に努力するのですが、これが空回り…というケース、かなりありますよ。

子どもには、「何も心配しなくていいから、オマエは目の前の勉強を一生懸命やりなさい」「オレの子なんだから、馬鹿じゃないはず。自分を信じて頑張れ」「失敗したって取って食われる訳でなし、大したことは無いから、落ち着いて普段通りの力を出せ!」と言ってあげて下さい。本当に、子ども達を責め立てても、ネガティブな言葉を投げかけても、脅しても、何の効果もありません。それは大人のストレス解消になってませんか? 本人をいい方向にもって行く手段になっていますか? ほとんどが「ダメパターン」だと思います。

講師にもよく言います。
「全然出来ねーな、オマエ!」
と言っても、出来るようにはならないから、無駄。
「何でこんなの知らないの?」
と言っても、どんどん知るようにはならないから、無駄。
「次までに覚えて来て」
と言っても、覚えてこないし覚え方も分からないから、無駄。

マイナスなことを言って、「よーしやる気になったぞ!」という子はいません。甘やかしている訳じゃないのですが、子どもはやはり不安なんです。だから、安心して頑張れと、大人はドンと構えている必要があります。ガミガミ言ってもいいことがありません。是非、その言葉一つに注意して、言い方を考えて子どもに投げかけてあげて下さいね。 

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