大阪市立中学校の校長が今年2月に全校集会で「女性にとって最も大切なことは子供を2人以上産むこと」と発言したことに対して、「価値観の押しつけだ」とネットで波紋が広がっているそうです。この先生も来年度の校長職を辞しているそうですね。
さて。
事の是非はあえて問わないことにしましょう。それぞれ、皆さんご意見をお持ちでしょうし、この先生の発言もわかる部分もあり、それはダメでしょう?という部分もあります。どの部分を切り取って良いと言うか悪いというかについては、言っても仕方ない部分があります。「マスコミ論」を大学で専門として勉強してきた(してきたのか!?(笑))私、若かりし頃はマスコミを志望していた私、そして国語の先生として27年やってきた私からすれば、今のマスコミの「発言切り取り炎上商法」は大変低俗だと思っているので、あえて「事の真相」については良いも悪いも言えないということにしておきます。
ただ、この問題の本質は、女性蔑視だとか価値観の押し付けだとか言う以前に、「公教育の限界」がきているのではないかなぁと思いました。
そもそも、教育とはある種の「価値観の押し付け」である面が必ずあります。
たとえば、自由教育を標榜する親御さんが、本当に子供に自由にさせているとすれば、それは単なる「放ったらかし」であり、ひどい場合は「ネグレクト」です。まぁ普通はそんなことはなく、そこには必ず大人の「意志」「意図」が存在します。また、「家庭の方針」を「親の価値観の押し付けだ」とぶつかる親子喧嘩はいつの世もあるものです。だいたいこじらす年齢である(笑)中2あたりから高校1年生あたりというのは、親の誘導には乗らないぞ、大人には操られないぞ、というそんな思考回路で2回目くらいの反抗期を過ごす子が多いものです。
ただ、誰かの価値観、自分が思いつきもしない新しい価値観、出会ったこともない驚くべき価値観に触れたり、従ってみたり染まってみたりしながら、また反発してみたり拒否してみたりしながら、徐々に自分のアイデンティティというは確立されていくものではないかと思います。それが教育の世界の「常識」だと思いますし、そういう外界の「変なもの」に出会う経験もまた「勉強」なのだと思います。
純粋培養で正義感まっすぐ君が、変なものに染まって、過去大変な事件を起こしたことがいくつもありますよね。世の中には玉石混交、いろんなものがあるわけで、それに対する免疫も必要。この校長を批判してしまうと、一つの価値観の提示をすることすら「いけないことだ」となってしまいかねません。めぐりめぐって、子供達が、他人の意見を聞いたり自分と違う意見や思いを聞く機会を奪ってしまう結果になりかねません。
今回このような「価値観」に触れて、
「そうかぁ!」「そうだよな!」
と感じる子もいれば、
「何言ってやがる」「ふざけんな」
と思う子もいるでしょう。それでいいんじゃないでしょうかね。
その感じ方、受け止め方を教えるのもまた、「教育」なのではないかと思います。
そこでちょっと思ったこと。
そういういろんな価値観を与えることに反発が起こるのは、「誰しもが納得する内容のみが許される公教育」の場だからなのかもしれませんね。私教育の場なら、その価値観が嫌なら辞めて他の自分の価値観に合うところへいけばいいだけの話ですから。
つまり、これはもう「公教育」が限界に来ているのだと、そう思ったわけです。
教育の場の方も、「嫌なら辞めればいい」というスタンス、教育を受ける側も「選べる自由」があれば、こういう問題は減るのではないかと思います。この国の教育システムも、新しい段階に差し掛かっているんだろうなと思わざるをえない事件でありました。
価値観というのは様々あっていいわけです。自由な価値観を守りたいなら、他人の価値観、自分とは異なる価値観の存在もまた認める必要があります。気にいらない価値観を糾弾しようとする人間は、「自由の敵」であることは言うまでもありません。何者にも縛られたくないのならば、何者を縛り付けてはいけないのです。ましてや強制されたわけではなく、単なる訓示を聞いただけでしょう?(笑)それをどう判断するかは、まさに「個人の自由」に委ねられているわけですよね。それが「思想信条の自由」というものです。他人の価値観の「提示」を禁止すると、思想信条の自由すら奪われます。
それを「公教育ではやるな」というのであれば、「公」の限界であり、公教育に人格教育や道徳教育・人間教育などを求めるのは完全に間違っています。マニュアル通りに機械的に学校運営がなされ、役務を遂行すれば、それ以上のものは職務上求められないようにせねばなりません。
結局、教育は「私教育」へ向かっていくことになるのだと思います。
ちなみに、この報道を見て、私は個人的に、本当に公教育に携わらなくて良かったと思っています。私なんかすぐ晒しあげられて、炎上して、追放されるような人間ですからね(笑)失言大王ですから。
ちなみに、私への異論反論等々も固くお断りしますね(笑)
気にいらないなら放っておくのが「大人」ってもんですよ。ええ。
何だか最近は生きにくい世の中になってきたものですね!
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