知識はコンニャクみたいなもんです

今日の授業にて。

英単語が覚えられない子が結構いたりします。どうして覚えられなかったり、覚えるスピードが上がらなかったりするか、それはですね、学習の仕方が完全に間違っているからです。

もう最近、本当に心から、みんなちゃんと「教育しようぜ」って思うのですが、どうも教育界の皆さんが、「いい教材を与える」「いい授業をする」「これからはICT教育だ」「予備校の合格ノウハウはすごい」とか、もう、そんなんばっかで、肝心な「どうやって勉強するのか」ってところには全然誰も触れないわけですよ。だから、子供たちは本当に勉強のやり方を知らないわけで、下手をすると「いかに効率的に暗記するか」なんてのは教える人がいますが、全くの語呂合わせだったり、無味乾燥な丸暗記を推奨していたり、本当にビックリします。

今日はそんなある生徒に、こんな話をしました。


知識ってのはね、「コンニャク」みたいなものです。ドジョウでもウナギでもいいんですが、とにかくとらえどころのない、捕まえたと思ったらすぐチュルンと逃げてしまうようなものです。つまり、覚えた、なんて言っても、すぐに忘れてしまって何処かへ逃げてしまうようなものなんだと。それを捕まえるためには、ただがむしゃらにやっていてもだめで、「ストッパー」を付けなきゃダメです。

そういうのを「タグ」と言ったりするんですが、ツルツルのコンニャクだと、すぐに手の中からこぼれ落ちてしまうでしょうが、コンニャクに串が刺さっていればそれを捕まえておくことができます。串の他に楊枝も刺さっていれば、串を捕まえられなくても、楊枝で支えることができるかもしれません。つまり、この「串」=「タグ」を一つの知識に多くつけておけば、それだけ知識の「流出」を抑えることができますし、またそのタグから知識を手繰り寄せ「思い出す」ことができるのです。よく、「あれ?何だっけ?」ってなった時も、他のことから芋づる式に大切なことを思い出すってことがあると思いますが、それはその「他のこと」を覚えていて、そこから思い出すわけですよね。それが「タグ」です。

覚えるのが苦手な人は、ついつい、「たくさんの量を覚えたり、いろんなことを覚えようとすると忘れちゃう」と思っているので、最低限のものに絞って暗記に取り掛かろうとする傾向がありますが、これは全くの逆。周辺知識がないから、全然思い出すきっかけもないし、印象付きもしません。ゆえに一番非効率的で無機質な勉強をせざるをえない状況になります。無駄中の無駄。

例えば、今日は「prove」という語が出てきました。
読んでみろというと、「プローブ」と。
ブッブー。まずこれは「プルーヴ」
意味は「証明する」。
名詞形は「proof」(証拠・証明)

これを最低限のことだけで済ませようとすれば、
「証明する=p r o v e」
となるわけです。しかし、これじゃ全く頭に入りませんよね。

これって何て発音するんだろう?って気になって、「プルーヴ」でビックリ。
アクセントの位置は?
名詞形がproof。なるほど、ここも、「v」と「f」の関係なのね。
発音は「プルーフ」ね。


「あ、単語集のこの下に書いてありました」
だろ?そういうところ、読んでないだろう?と。

これって何て読むんだろう?
アクセントの位置どこかな?
この文って、どういう意味なんだろう?
これ、名詞形などの派生語はどうなってるんだろう?
これ、どうやって使うんだろう?

そういうことを考えながら学習していたら、印象づくべき「タグ」がたっくさん付くと思いますよ。特に最近はググれば何でも出てくる時代。印象付けるためにいろいろ調べてみてもいいものです。とにかく覚えるためのきっかけ=タグを付けるべきなのですよ。

単語は、単語の部分を折るなりしおりにするなりして隠し、書くのは試しに1~2回、テスト代わりにやればいいんです。暗記するというと、急にただひたすら単語を20回くらいいノートに書き始める子もいますが、これはこのご時世、全くもって無理です。頭を働かせずに「丸暗記」をするというのは、学習としては「不毛」です。何の成長もありません。そもそも、アルファベットの練習などしなくていい年齢でしょうから、そんなに20回も書く必要もありません。むしろ、頭が働いていない方が大問題。こういう勉強を続けても、100万年経っても1μも成長しませんよ。

そういう勉強を、「丁寧に」やりなさいと、今日は高校生に諭しました。
入試前になって、慌てて「発音問題」「アクセント問題」の「特集」をしなけりゃいけないなんて間抜けなことにならないように。日頃からこういうことに気をつけていれば、何も慌てて単語問題に取り掛かる必要もないでしょうし、出来ない出来ないと慌てることもないでしょう。

高校生、特に結果がなかなか出ない男子高校生は勉強が「雑」です。
「こんなもんっしょ」
「最低限のことしかやりたくない」
「めんどくせー」
そう言って、結局一番非効率的で、意味の無い、無駄な勉強を延々と繰り返し、挙げ句の果てにロクな結果が出ないという最悪の憂き目に遭います。当たり前なんですよね。勉強というのはそもそも頭を働かせてやるものです。

ですから、周辺の知識、いわゆる一つの知識に対する「タグ」をたくさんつけて、万が一その知識を失念してしまっても、関連事項や写真・絵、果ては「色」「学習した場所」「一緒にいた人」なんてことからも思い出したりします。

私は、テキストやノートには「落書き」をいっぱいしなさいと言っています。いろいろ落書きしたことで印象に残って大事な時に思い出せたラッキーですもの。絵の下手な人は「お気に入りのシールを貼れ」と言っています。アンパンマンのシールを貼ったテキストから出題された!なんてことになれば、楽しく勉強して点数もとれるという一石二鳥パターン。これも「タグ」です。辞書の一度引いた単語に蛍光ペンなどでガンガン印や書き込みをしていけと言っているのも私です。色で思い出せたらラッキーです。

「何これ?」
「何て読むの?」
「どうしてこうなるの」
「どうやって使うの?」
こういうことに興味なく勉強を続けても、ほとんど効果はありません。
もう少し勉強に前のめりになることが重要なのだと諭しました。
桜学舎の受験生は是非共有しておいて欲しい情報です。

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