夢を諦めさせる大人を信用してはいけない

先日、就活中のスタッフとちょっと長話をしました。「大人の話に触れていない普通の子」なので、「就活うまくいってる?」と。突っ込んだのは、「あなたは一体何を仕事にしたいの?」ってこと。最初は金融系だとこうだとか、あっちだと何だとか。本当に?って突っ込むと、「そういうのが無難だと思うので」と。

体面とか、世間体とか、友達との比較とか、家族の意向とか、そういうのぜーんぶ取っ払って、本当に自由だったら、何を仕事にしたいんだと聞くと、本当は漫画とかアニメが好きで、一度プロダクションのアルバイト応募に行ったら、本当に覚悟ないとダメって言われて諦めたのだとか。その後、大学の就職課とかに相談してみたら、「そういうの厳しいね」って一蹴されて、出来ないことをどんどん取り払って、残った分野に就職するようになんて雰囲気で指導されているのだとか。


呆れた(笑)

大人、特に教育に関わる大人って、子どもたちに「夢を持て」って言いますよね。で、その夢を語ると、「ダメ」って言いますよね(笑)これ、ホント前々から思ってたことです。

大人が要求する夢って、つまり、
「外交官になって海外を駆け巡りたい」
とか、
「建設会社に入って公共施設の建設に携わりたい」
とか、はたまた、
「弁護士になって、将来は自分の事務所を持ちたい」
なんて夢を語れば「よしよし」なんですけど、
「ロックスターになって全米ツアーをしたい」
とか、
「冒険家になって世界の洞窟を探検したい」
とか、
「漫画家になって将来は自分の作品をアニメ化したい」
なんて夢を語ると、
「バカじゃないの?」
「いつまでもそんな夢みたいなこと言ってるんだ?」
ってなります。
「どうやって食ってくんだ?」
「そんなの職業にならないだろう?」
「いつまでも夢みたいなこと言ってるなよ」
と言われるのが関の山。
そんなこともわかっているので、子どもも夢なんか語りません。 
 
夢を持てって言ったの、大人じゃないですかね?(笑)
「その夢はダメだ」って決めるのは、どうなんでしょうか?
 
私、そのスタッフにも、こんな話をしました。

アニメを作る現場が無理でも、何らかの形でアニメに関わる仕事はあるでしょう? 出版社でもいいし、グッズを作るおもちゃ会社でもいい、広告代理店でもいい、映画会社でもいい、間接的に関わる仕事を考えたらいい。怪我をして選手生命を絶たれた野球選手が、野球に関わる仕事を考えるのと同じこと。好きなこと、夢中になれることを仕事にすればいいと。初めて聞いたって顔で、何だかびっくりしていました。こういうこと、誰も言ってあげないのかしら?

どんな荒唐無稽な夢であっても、私は生徒や若者から聞いた夢は、「どうしたら実現できるか」を真剣に考えますし、話もします。夢に一歩でも近づく努力をすべきだという話もします。なぜなら、人生はあっという間に終わってしまうから。

びっくりですが、気づけばあと半年で私も49。半世紀目の前です。千葉の四街道で塾を始めたのは20年前、結婚したのも10年前ってことです。ジェットコースターです。ためらっている暇も、悩んでいる時間もないんですね、人生って。やったもん勝ちですし、諦めなかった人間が勝ちなんですよ。
 
受験って、その縮図です。
早稲田に入りたい、でも偏差値が足りない。
じゃぁ諦めるって人は、逆立ちしたって早稲田には入れないんですよね。諦めずに、ギリギリまで努力をした人は、少なくとも入る可能性があります。
 
夢だって同じでしょう? 諦めずに追うこと、近づくことも大切なんじゃないでしょうかね?

でも、若者の「夢」に対する大人の態度は、常に「無理だ」「諦めろ」です。
努力しろ、頑張れとは言わないのです。
でも、「今の若者は夢がなくて困る」と嘆くんです。面白い奴がいない、ちっちぇ奴が多い、もっと豪快に行けよって言うんです。

どう考えたって矛盾していますよね。
 
私、その子と散々っぱら話をして、しっかり大人の話を聞け、上の人の話を聞く場面に出て行け、そしてきっちり働けと諭しました。バイトも完璧に出来ないような人は、悪いけど雇う側からすれば要らないんです。バイトだからって手を抜くような不届き者ももちろん要らないんですけど、まずは「バイトくんでもできる程度の仕事」はきっちりコンプリートしろと。一緒にお付き合いしていた卒業生講師は、「おお、また塾長が長い話をしとる」って思って見てたと思います。卒業生は散々こういうことを言われてきていますからね、ちゃんと大学に入っても何だかんだ考えて行動しています。
 
「塾長は、やりたいことができてるんですか?」
 
と聞かれて、

「できてるわけないだろ!」

と答えました。やりたいことが多すぎて、思ってることの10%もできてないわ!と(笑)
 
だから、「死にたいとか、暇だとか言ってる人間が全く信じられない。死にたかったり暇なのなら、余った時間を100万円くらいで売って欲しいわ」ってのが本音です。いや、ホント。

でも、生徒やスタッフ、若者含め、生き方ってところからちゃんと教えないといけない子が増えて来たなぁと思います。そして改めて、桜学舎の卒業生は昔からこういうことを言われ続けて来ているので、ちゃんとしてるなぁと思う手前味噌。

そんなことをFacebookに先に書いたら、昔の卒業生からいろいろコメントをもらいました。勉強以外のこともいっぱい教えてもらったとか、出会う大人がみんなこんなで参りましたとか(笑) こんなことを言い続けて早20年。

でも、あえて言っておきます。
ええ、綺麗事です。よく言われるんです。
「そんなの綺麗事でしょう?」って。
そうですよ。綺麗事です。綺麗事というのは、余計な垢が付いていない「ド正論」ってことです。

子ども相手に「ド正論」かませない大人なら、教育なんて仕事に就いちゃだめですよ。
根本の根本に「ド正論」があるから、世の中の多様な変化球を見抜けるようになっていくんじゃないですか。そうでしょう? ストレートが打てないバッターが変化球を打てるようになるわけがないじゃないですか! 大学生講師といえども、まだまだ若い。そしてこういう直球ど真ん中みたいなストレートボールを全然経験したことがないって子が多いのも事実です。< br />
もちろん、夢を追ってそれが全部叶うなんて思ってませんし、私も夢はいくつも破れて来ました。しかし、自分の好きなことは常に手元にあるし、新しい夢をたくさん育むことができていますし、本当に人生いくつあっても足りないくらいの仕事をして生きています。「楽しかった」って言って死にたいのでね。

夢を「諦めろ」「無理だ」「やめろ」なんて言う大人を信じちゃいかんですよ。若者諸君。
そういえば、「宮大工になりたい」って言った子がいて、すげー!って感動しましたよ。
こうしてみたら、ああしてみたら?って、いろいろ考えちゃいました。
いい夢、悪い夢なんてないんですから。選別するような大人にはなりたくないものです。 

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