「結果が全てだ」
という大人がいます。先生という人種にも、「親」という人たちの中にも、その他の大人の中にも当然います。そしてほとんどの場合、間違っていないものです。というか、説得力があります。そりゃね、「結果の出ないものは、やっていないに等しい」という考え方はとても厳しいですが、「そりゃそうだよね」という同調を生みやすいものです。
しかし、私は、教育という場においては、これは通用しないと思っています。理論的にはどうか知りませんし、少なくとも私の20年ほどの拙い経験の中での話ですが、こういう教育をして成功した子を見たことがありません。むしろ、成功者はもっと余裕があって、様々な選択肢について幅広く考えているものです。進学先などについても、最終的に「やっぱりこれがいいよね!」と思って、その優秀な集団に属することを選ぶことが多いものです。
ですから、「100点以外は0点と同じ」という教育はとても危険だと思うのです。
こういうことを言われると、子どもは「奮起」どころか、一気にモチベーションを失います。つまり90点は0点と同じだと言われるのですから、90点分の努力を全く認めないということになります。
「こういう厳しさが大事だ」などと言っていた親御さんが、結果的に苦しんだお子さんに… という事件も過去、数々ありましたよね。コワイコワイ。親のプレッシャーをまともに受けた子は必ずいつか爆発するものです。幸い、私は事件化するほどのものは見たことがありませんが、それでも親御さんとお子さんの激しいバトルは、過去数々見て来ました。進路面談中に目の前で親子喧嘩が始まるなんてのは日常茶飯事でしたしね。
優秀な親御さんのほどこういう教育をしてしまう傾向にあります。
「今度の試験で○点以上取らなかったら、中卒で働け!」
「滑り止めのあんな学校受かっても行かせないからな!」
「第一志望に受からなかったら最低だからな」
というようは責め方をしてしまう方もいますが、残念ながらこういうことを言っても、お子さんが良くなった話はとんと聞いたことがありません。つまり、これらは「無駄なプレッシャー」どころか、事態を悪化させる最悪のセリフとも言えます。
お子さんの勉強成果にちょっとイライラして、ついつい言ってしまうこともあるかも知れませんが、とにかくそれは誰の得にもならない話だと認識しましょう。
成果が出なくて一番悲しかったり「ヤバいな」と思っているのは本人です。平気な顔していますが、意外に焦っているものです。だからこそ、お子さんを「認める」ことが重要なのです。
「お前は力はあるのにな」
「本気出せば、凄いところまで行けるはずなんだけどなぁ」
「ひらめきはいいんだけど、努力が足りないんだよなぁ」
「あと少しやればびっくりするほどできるようになるんだけどなぁ」
的な、「本当はお前はできる子なんだよ」と認めつつ、「足りないところがあるのが残念だな」という注意。これが上手に出来るとお子さんのコントロールが出来るようになるはずです。実際、私たちはこの論法でテスト後のアドバイスをします。すると、「ねぇ、今から本気出したら、どのくらいまでいくと思う?」なんて聞かれますよ。
「そりゃお前次第だけど、ここくらいまでは行くんじゃないか?」と言ってあげると、ふぅん…と頑張り始める子もいるものです。人間、出来る可能性があるものしか「頑張らない」ものです。出来もしないこと、勝てもしないような強いものに戦いを挑むほどストイックなファイターはいません。
「叩いて伸びる」それは机上の空論、ファンタジーです。やはり人間は「出来る範囲のマックス」を求めて頑張るのです。だから、出来る範囲を増やしてあげる、つまり頑張ればここまで行けるよ? でも、まだ行けてないよね?という「残念な自分」にしてあげることが重要だと思います。
プレッシャーをかけても、ダメです。
子どもを調子に乗らせることを考えないと。
波に乗れば、子どもなんて手放しで勉強します。勉強の中身や成績に関して「怒る」のは最悪だと思います。叱るなら、「生活リズム」「時間の使い方」「進路選択の方法」などについてです。
また、「数字しか信用しない」などというのは全くダメです。頑張っている「途中経過」をしっかり評価してあげないと、子どもは一気にやる気をなくします。特に男性・お父様は、男性的な発想で、事細かなデータ分析などを始めてしまいがちですが、特に女子・娘さんとのバトルは必至です。数字はあくまで入試における「武器」でしかなく、強い武器を手にすることが目的化してはいけません。つまり、高得点や模試での高偏差値が目的ではないのです。そこを勘違いして、偏差値が高いと「偉い」となると、逆に敗北感をたっぷりもった歪んだ子が育ってしまうことも考えられます。
私の尊敬する「学校の先生」がいらっしゃいます。以前大変御世話になった先生です。
その先生の教育理念は、私の理念に大きく影響を与えています。それは、
「教育の世界で、勝者と敗者を作り出してはいけない」
ということ。塾でありながら、桜学舎の理念はこれを元に作られています。だからこそ、キャッチには、
「アナタノ サクラガ サクヨウニ」
とあります。「あなたの桜」が咲く必要があるのであって、誰かの、見事な桜を咲かせるために頑張っているのではないのです。私たちはそのための応援団です。
是非、褒め上手・認め上手に!
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「100点以外は0点と同じ」は危険
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