伸びる可能性

この時期ですから、新入塾の方が多くおいでになります。
初めて塾にいらっしゃる子もいますが、それまで何かしらの習い事などに通っていた子もいます。桜学舎へいらっしゃる方は以前他の塾に通っていたというケースも多いのですが、中にはがっちりと締め付けられてしまって、勉強が嫌いになってしまったり、ぐったりしてしまったというケースも無くはありません。

よく、受験の説明会などに行くと、
「お子さんの可能性を捨てないようにしましょう」
と言われるようです。

今はまだ開花していないけれども、才能や可能性はみんなが持っている。だから、今やらせれば可能性が広がることもあるけれど、今放っておくのは勿体無いし、せっかくの可能性を無駄にすることにもなるので、今受験勉強させましょう。そういうことのようです。

まぁ、一部は私も同意するところもあります。
今鍛えておけば才能が開花する可能性もあるわけで、早いうちからやるべきことはやっておいたほうがいい、それは確かにそうだと思います。勉強など気付いた時にやり始めれば、いつからでも遅いことはないという方もいますが、残念ながらそれも少しだけ現場の感覚とは違って、やっぱり早い時期から少しずつ学習を続けてきている子は地力があります。強いですし、なにせ知的好奇心が違います。やっぱり早い時期がいいのは事実だと思います。

しかし、私の方針とちょっと違うなぁと思うことがあるのです。
それは、「スパルタで叩いて上位校に入れることを伸びる可能性とは言わない」という点なのです。
私は、そう思います。
叩いて、叩いて、無理して、頑張らせて、泣きべそかきながらやって、上位校に入っても、どうなんだろうか?と思ってしまうわけです。もうその学校に入ること自体が目的になってしまって、学力を向上させるとか、勉強を面白がってやるとか、人生の役に立つものにするとか、そういう意識がどっかに行ってしまって、とにかく小テストに受かるために勉強する、怒られないために勉強する、誰かに負けないために勉強する、いい学校に行っていると言いたいために勉強する、そういうことになってしまうと、どうもおかしなことになって行くように思うのです。

受験勉強とはいえ、「教育」です。
教育は何のためにするのか。
その子に「幸せになってほしい」ためにするのだと思います。
昔、金八先生が、
「俺はみかん作ってんじゃねぇ!人間作ってんだ!」
と絶叫するシーンがありましたが、私たちも受験勉強や学習指導を通して、その人の「幸せ」を作っていると思っています。もしくは幸せづくりのお手伝いをしていると位置付けています。

スパルタで、わかってもわからなくても、叩き込みで知識を詰め込み、点数を取らせてしまうやり方ってのは、どうも私には性に合わなくて、そこが「甘い」と言われる所以でもあります。

「お宅は甘いんで…」
「ウチ、もっとガッチリやらせたいんで…」
そんなことをおっしゃる方もいるのは重々承知です。そう言って他所へ行かれた方もいましたが、やっぱりウチは伸び伸び受験でないとやっていけないなぁと思います。叩き込みや強制力が働いた学習が正しいとは思えない、というのがどうしてもあるのです。だって本来学習とは楽しいもの。知らないことを知るんですよ?こんな面白いことないでしょう? いつからつまらなくて、嫌で、億劫で、面白くないものになってしまったのでしょうね。好き嫌いは多少あるにしても、勉強嫌いとは???

もちろん、チンタラやらせてノンビリさせているわけではありません。強制力が働くこともありますし、やれ!って叱ることもあります。でもそれが通年を通しての方針ではないということです。自分で楽しく前に進んで行くようになること、それこそが「伸びる可能性」だと信じていますし、そこをドンピシャで行ってくれた子には「会心の一撃」の喜びが我々にもあります。みんながそうなって欲しい。その理想を目指して頑張って行きたいと思います。

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