赤字ローカル線は廃止できるけれど…

子育てとは大変難しいもので、親の思った通りに子どもが育ってくれるとは限らないものです。むしろ思った通りに育たないほうが普通であって、上手に子供をコントロールするということの方がとても難しいことなのでしょう。

子どもに何を与え、どう勉強させていくかというのは結構重要な課題で、今どきの親御さんはお子さんの様々な可能性を信じて数多くの習い事をやらせていたり、様々な学びの機会をお子さんに与えていることが多いように思います。

その中でも、「塾」というのはとても微妙なポジションで、お金をかけて教育するという点において、いつも出てくるのは、「出来る子にお金をかけるか、出来ない子にお金をかけるか」という問題です。親御さんにとっては、これは永遠の課題でしょう。

正直なところ、親御さんからすれば、お金をかけたらお金をかけた分だけ成績に跳ね返ってきてくれれば文句はないわけです。ところが子どもというのはそう上手くいかないもので、お金をかけてもなかなか成績に反映されない子というのも数多く存在します。むしろそちらのほうが多い気がしますね(笑) やはりそこは人間ですから、どうしても上手くいく場合とうまくいかない場合があるものです。

いくら塾に通って勉強続けても成績の上がらない子もいれば、塾に少し通っただけでぐんぐんと成績を伸ばしてくる子もいます。 なかなか成績の上がらない子の親御さんからすれば、
「うちの子は、よその子とどこが違うのだろう?」
「うちの子はやってもやっても出来ないのではないか」
と不安になることもあるでしょう。

しまいには、
「うちの子いくらやっても出来るようにならないから塾をやめる」
とか、
「この子にお金をかけるのは無駄だ」
などと言って塾をやめてしまうケースを見かけたこともあります。特に途中で受験勉強をリタイアしてしまうケースのほとんどは、このように親御さんが我慢しきれないというケースです。

やっぱりここで浮かび上がってくるのも、「勉強が出来る子、つまりお金をかけたらそれだけの成果が期待できる子に投資をするのか」、それとも「勉強が出来ない子にお金をかけて勉強が出来るように支援をするのか」という問題。ここに突き当たるのです。

私も何度か、これ以上この子にお金をかけても仕方がないといって塾を去って行った人を見たことがありますが、「我が子の教育をお金の価値観では計れないのになぁ…」と残念に思った記憶があります。

例えるなら、赤字ローカル線の廃止問題。

走らせても走らせても儲からない赤字ローカル線であれば、最終的には廃止したりバス路線に転換したりすればいいのですが、残念ながら我が子は、成果が上がらなくても、結果が出なくても、「廃止」するわけにはいきません。つまり、なくすことでその「赤字」=「成果が上がらないこと」を解消することはできないということなのです。

私はできない子を放っておくことがなかなか出来ません。
出来ない子ほどお金がかかるものですが、出来ない子を支援する方がより重要なことだと思っています。「出来ないから仕方がない」と放っておくわけにはいかないのです。いずれはその子も社会に出して、一人で自立して生きていけるように育てていかなければならないからです。そのための学習能力を、この幼い時期に受験を通して身に付けることはとても有意義なことではないでしょうか。

やはり相手はどこまでいっても子供。
親の思いも理解できませんし、将来のことまで先を見通して考えることも当然出来ないでしょう。

「どうしてうちの子は計画性がないのだろう」
「どうしてうちの子は集中力がないのだろう」
「どうしてうちの子は学習に対する意欲がないのだろう」
と悩む親御さんは多いものですが、そもそもそれをなかなか持ってくれないのが子どもというものです。子どもはそういうものだと理解をしておく必要があります。だからあらゆる角度から興味の対象になりそうなことを投げかける、学ぶきっかけを作っていく、それが学習であり、授業であり、教育なのだと思うのです。

子供は赤字ローカル線ではありません。切り捨てるわけにもいかないものです。
廃止出来ないのですから、親御さんの「公的支援」も含めながら、その子に関わる皆で支援して、少なくともトントン、あわよくば黒字体質にまで育てていかねばならないのです。

そのためには、ある程度大人が忍耐強くなっていくこと、ある程度「いい加減」になること、そしてもう「悟り」を開いていくことが重要なのかもしれません。そんなに急には変わりません。でも、だからといって諦めてはいけません。いわゆる「バカ親」では困りますが、「親バカ」は正解。是非お子さんの力と成長を信じて、粘り強く子育てと教育に時間とお金をかけていってほしいなぁと思っています。

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