スピリッツに連載されている高瀬志帆さんの漫画「二月の勝者」、たまらないですね。面白い。
しかも、業界人からすれば、かなり「エグい」部分も描かれているので、けっこう「あるある」で読めるので、私達はちょっと異なった楽しみ方をしているのかもしれません。
ただ、主人公のスーパー講師「黒木」が言う言葉は、私の言葉と被ることがあります。
例えば、6巻では、「出来た」と「空欄を埋められた」は全然違うとか、全体の得点が上がれば、いくら出来るようになっても成績は伸びないとか、夏の結果は9月には出ないとか、みんな私が言ってますよね、昔から。私というか、塾をやっていればそんなのは常識なのです。ですから作者がよく取材されているとほめるべきか。
出来る子は、試験で出来なかったところを悔やむもの。
出来た出来たと帰ってくる子は大体ダメなことが多く、出来たところだけを覚えているだけのことなのです。知ってることが出たというのは、そこばかりが印象に残り、大事な基礎が取れていなかったりするものです。
写真の言葉も私が口を酸っぱくして言っていることですよね。
「考えるのはオマエの仕事だよ!」
親御さんも本当にここの勘違いが多い。
「わからないことを教えてほしいから塾へお金を出して行ってるんじゃないか!」
違います。
出来るようにするための「訓練」をしに塾へ行くのであって、わからない問題を教えてほしいだけなら、そこらへんの大学生捕まえて家庭教師させたほうがよほどリーズナブルだし、便利。でも、便利屋はおこさんを「出来る子」には変えてくれないのですよ。
何で子どもに楽させちゃうんだろうなぁ?
教えてもらうのなんて楽ちんなんですよ。
塾だってそう。算数ができないと相談を持ちかければ、「じゃぁもう2コマ算数を増やしましょう!」ってソリューションしか提示できないわけでしょう? 教える時間を増やしたからって、その子の成績が伸びるとはほとんどのケースで考えられないもの。そんな楽なもの増やして成績伸ばせるんなら簡単なものです。
「ここ分かんなーい、教えて!」
という質問に対し、
「考えるのはオマエの仕事だよ!」
と突き返し、ウンウン唸らせる。結果的に間違っていてもいいし、結果的に答えが導き出せなくてもいい。途中まででもいい。とにかく自分の頭で考えているかどうか、そこが大事なのです。それが出来る子だけが、「ジャイアントキリング」、つまり「アリが象を倒す」という話の主人公になれるわけです。過去、驚くべき成果を上げて、上位校に受かった子たちは皆、自分で考えることを促された子たちでした。
最初は「教えてもらえない」と泣きべそをかいていましたが、私はとにかく自分なりの答えを一度書いてからじゃないと教えないという方針を取っていました。でも、それが正解だというのはこの黒木の発言を見ても確信めいたものになってきました。
さて。
漫画の舞台。桜花ゼミナールの生徒たちはどうなるのか。目が離せません。
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