合宿企画を立ち上げ、今回通算6回目となりました。
実は上野桜木教室としては初の試みとなりますが、千葉や江戸川区の生徒を連れて行った合宿で様々な経験をしてきましたから、大抵のことは「想定の範囲内」ですが、それでも毎年気を使いながらの実施。実は一番疲れるのは私たちだったりします。年齢的にも(笑)
ぶっちゃけて言えば、合宿というのは利益が出ません。交通費や宿泊費、食費などはどうしても実費として出て行きますから、これに講師の人件費を考えると、塾としては実に実りの少ない企画です。ですから、他の教室の塾長に、「やる意味はあるのか?」「儲からないのになぜやるのか?」「疲れるだけ」「意味が無い」「バカみたい」だのと、散々なことを言われることもあります。
でも、合宿は意味深いものです。それを、表面的ではなく、生徒の内面まで踏み込んだ「指導」と考えれば、欠かすことが出来ないと言ってもいいほどの企画です。
毎年、合宿では生徒には「辛い思い」をしてもらいます。それは、「眠い」「ボーっとしてきた」「お尻が痛い」大抵この3つです。
眠いのは確かに仕方ありません。夜の1時まで授業をし、その後にお風呂や自習。そして朝7時にはテストで起こされますから。しかし、睡眠可能時間は4~5時間。帰路と帰宅後に爆睡すれば回復可能な時間です。3~4日寝不足したところで、若い体力ですから全く問題がないでしょう。
ずっと勉強を続けていれば、ボーっとしてきます。しかし、今の子ども達の限界点は2時間。あまりに「ヤワ」過ぎます。やれば出来るのにやらない。それは、大人がやらせていないのです。キツい経験をさせていないのです。やらせてみれば出来るのです。「やるんだよ」「嫌じゃねーんだよ」「拒否権は無いんだよ」そういう中に子どもを入れていないのは大人なのだと、合宿に来てみると強く感じます。では、どれだけ子ども達は嫌な思いをして帰って来るのか… この感想文を読んで頂ければ答えは一目瞭然です。
毎年、合宿の最後に話す言葉があります。それは、
「意外に出来る自分と、意外に出来ない自分に気づきなさい」
ということです。「出来ない」「キツイ」「無理!」と、逃げ回ってばかりいたはずですが、いざやってみると意外に出来るじゃないかと。「結構やれるな、オレ!」と気づいてほしいのです。
そして、4日間、朝から晩までやってもこの程度しかこなせない、「意外に出来ない自分」にも気づいてほしいわけです。「そのうちやれば出来るさ」「秋から本気で」などとうそぶいたところで、これだけ根詰めてもやれる量には限界があるということ、また自分の処理能力に限界があるのだということに気づいてほしいのです。つまり、謙虚に時間をかけなければいけないということに気づけと、そういうことです。
こちらの思い通りに全て理解してくれれば「言う事無し」ですが、そうもなかなか行きません。ただ、かならずこの体験をすると、何かしらその子の中でのスイッチが入ります。そして、何かしらが変わります。
「合宿から帰って来て、しばらくは勉強しなかったですよ」と親御さんに言われます。当たり前です。これだけやってきたのですから、反動が来ます。2~3日ダメかも知れません。それを見た保護者から「効率が悪い」「行かせない方が良かった」「意味が無かった」などと言われたこともありました。
しかし、結論から言うと、目先の反動に一喜一憂せず、また馬力が入り始めるのを待てば、必ず良い結果が出ます。しかも、以前よりも力が入っているのがよく分かります。
つまり、半ば強引に子どもの勉強キャパシティを広げてしまうことで、年の後半にやってくる「追い込み」に耐え得る「学習体力」をつけることが大切なのです。
合宿中、一番心配だった子が一番勉強していました。最終日、スタッフが「寝なさい」と強引に寝かせたほど。消灯して引き上げなければ、間違いなく夜明けまで勉強していたことでしょう。話す内容のレベルアップ、勉強に対する心構えの変化、そして真剣な眼差し。
塾としての「利益」は少ないものの、生徒達の希望をかなえる手段の一つとして、合宿は大きな意味を持つから毎年実施するのです。40を超え、生徒の体力についていくのも大変になってきました。「もっと体力あったんだけどなぁ…」そんなことを毎年実感します。こっちもキツい。
でも、驚くべき変化と、感動があるからやめられません。保護者には旅費をご負担を頂くことになりますので恐縮ですが、それ以上に、子ども達はかけがえのない経験をしています。
この企画が今後も継続できるよう頑張っていきたいと思います。
追記1
最終日、合宿4日間の写真をスライドにして上映しました。毎年涙ぐむ生徒がいますが、今年は生徒はおろか、スタッフまで涙がポロリ。頑張った結果はこうなるのですね。
追記2
今年も、青葉学院・教進セミナー・若竹綜合学園・塾アルゴ・関塾あすみが丘進学学院の先生方には大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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