就活ゲームの勝者は要らない

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「実力が無いから推薦で大学へ」
「最近はAOで大学に入るのが多いから…」
そんな親。
そんな教師。
「それは違う」と言い続け、安易な推薦受験を批判し、一般受験を推奨してきた私の方向性は間違っていなかったのだと、この本は証明してくれたように思います。

「いい大学出ても、就職できない人もいるんでしょ?」
これは、勉強が出来ない子の典型的な逃げ口上。だから、別にいい大学に行かなくてもよいのでは? と言います。そんなの目の前の辛い勉強からの逃避にしかなりません。
 
「いい大学出ても、就職できない人」、それは、その大学に見合う実力を伴っていない人です。また、世界が狭かったり、コミュニケーション能力に問題があったり、社会性が養われていなかったりと、様々個々に問題があります。だからといって、あなたが勉強しなくていい理由にはなりません。

「就職するために大学に行くんですか?」
これを聞く子自体が、あまりモノを考えていない気がします。自分の人生設計、それは自分で考えること。自分で起業するも、芸を磨くも、世の中にはいくらでも仕事はあります。私も「就職」という点ではロクな経験はありません。でも生きてる(笑) ただ、就職が「出来ない」人たちの中で生きていくことは、少なくとも自分の人生プランの中には無かった、ただそれだけのことです。

お父さん、お母さんの時とは、全然違う大学評価、全然違う就職活動なのです。ターゲット採用、学歴フィルター。見えないところで、知らないところで、もう自分は振り分けられているし、やるだけ無駄な就職活動になっているところもあるのです。悲しい…

大学生は、もっと幅広く自分の就職活動や仕事を考える機会に、そして大学受験生には社会の現実を見、しっかり勉強しなければならないことを心底知ってもらうために、保護者には20年前の常識で子どもの就職や進学を考えないために、必読の書だと思います。

特に印象的だったのはココ。

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就活が上手くいく学生の10の法則
1 働く覚悟はある
2 学生生活が充実している
3 「異なる者」との接点がある
4 情報源が広く、深い
5 企業・仕事に対する具体的なイメージを持っている
6 ミーハー感覚で仕事を選んでいない
7 自分の言葉で自分を語れる
8 質問力がある
9 適切な就活対策をしている
10 保護者との距離がちょうどよい
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1はアルバイトなどを通して、社会に出、働くことに目覚めているということ。

2は勉強はもちろん、サークルやバイトなどで充実し、やりきった感があるということ。

3は外国人や大人など、自分とは異なる人間との接点が多い人。特に大人との接点を避け、同年代や大学生ばかりとつるんでいる人間はダメなパターンが多いそう。

4は新聞、雑誌、本を読んでない人間。1週間に新聞は毎日、雑誌は1誌、本は2冊読むことは習慣化している必要があるんだそうだ。

5は出社してから退社するまでのイメージを具体的に持てるかということだとか。

6は、単なるファンはダメだということ。本書ではあえて「カス」と言われている。製品が好き、サービスが好き、だから働きたいというのは小学生レベルで、絶対に採用されない。これは昔から当たり前。ファンは絶対採用しないよね。「東京ガスに行って、『御社のガスは最高です』と言え!」には笑いました。

7は以前誰かに勧めたが、全く同じことが言われている。得られた情報はブログ・SNS・TWITTERなどを通して書くと、国語力向上にもつながり、読者からの指摘を受けて情報量も増えると。自分の考えを適切な言葉で語ることも重要な訓練になるのだそうだ。

8は自分も自信が無い。質問力は重要だが、私の一番のコンプレックス。質問が弱い。だから分かる。質問できない奴は上手くいかない。経験者は語る(笑)

9の適切な就活対策とは、ちゃんとアドバイスされたことを実行に移すということのようだ。言われてもやらない人が非常に多いとか。

そして10は、親がアドバイスはするが必要以上に干渉しないことが重要だと。取り乱したり、企業実態も知らないのに大手ばかりを勧めたり、「そんな会社知らないわよ」「そんな会社で大丈夫?」などと無神経は発言をする親は、就職活動の妨害にしかならないということだ。これは受験でも同じことが言えるかも知れない。
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大人、親が教えることは、マナーやルールです。
受験で言えば、進路の考え方であって、どこの会社、どこの大学、どこの高校へ行けというのは、間違いです。そんなものは本人が選べばいいのです。要は選び方を、その考え方を、そして理念や信念を語り、教えることが何より大切なのだと思います。

魚を与えるのではなく、魚の取り方を教える。
米を与えるのではなく、稲の育て方を教える。
最後は自立して、一人でやっていけるように援助する。

私は、それが「教育」だと固く信じています。そして、実力をつけて、実力に見合った学歴を持てば、ちゃんと実力どおりの評価が得られるものと確信しています。

実力も無いのに肩書きだけがいいのではダメなんですね。少なくとも21世紀は。20世紀は、肩書きだけで行けたのかも知れませんが。企業はそういうところまでわかっています。
 
だからサボっちゃだめなんです。逃げてもダメです。逃げれば、そのツケは、就職という最悪のところで回ってきます。
 
また企業としては、就活ゲームをクリアした勝者なんて要らないのです。うまくすり抜けたり、就活ゲームを早くクリアすることが目的じゃないことくらい、勉強していれば分かるはずです。問題は、その後の実力でしょ。ハズレを引かないために、企業も必死。フェイクじゃダメなんですよ、今の時代。

最大のフェイクである私が言うのだから間違いない(笑)
是非本書をお読み下さい。

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