研究者にリスペクトを

 先日TVでも報道がありましたが、今回の大規模地震と津波を予測していた学者がいたのだとか。最初は私も、「予測ってのは予め言わなきゃダメなんで、今頃予測といわれてもなー」なんて言っていたのですが、内容を見てビックリ。リスペクトしたいと本当に思いました。

 貞観地震。
 最近よく聞かれるワードですが、こんな昔の大地震を研究していた人がいるのですね。

 桜学舎にも東大で地学を専攻している講師がいます。彼に研究内容を聞くと、素人じゃ全くわからないようなことを地道にやっているようで、砂粒から恐竜時代のことが分かるとか何とか… 私のアタマではチンプンカンプンでしたが(笑)、地学はもう少し日の目を見ていいのではないかと思います。

 全く理科系の頭ではないのですが、私も地震や火山活動などには小さい頃からとても興味がありました。どこかで地震があったとか、火山が噴火したとか、そんなニュースがあると、夢中になってTVにかじりついていましたし、解説者の説明はとても興味深く聞いていました。残念ながら理系のアタマがなかったために研究者にはなれませんでしたが、真剣に国立大進学を考え、地学、特に地震や火山をやるなら東大か北大か…なんて考えていたこともありました。

 今、大学入試で「地学」は最も人気のない理科科目です。物理・化学は一般的に使われますが、生物は農業・バイオ系もしくは看護医療系に。ですので、最も利用されないのが地学です。「そんなん勉強してどうするの?」的な雰囲気もありますし、実際地学専攻の先生も非常に少ないと聞きます。

 ですが、実は天文学も含め、地学は理科の、科学(サイエンス)の花形であるとも言えます。未知の領域が多すぎで、壮大なロマンを包含しているとも言えます。

 今回のことで、地学の必要性が益々叫ばれることでしょう。地震研究もより必要になってくるでしょう。研究費が諸外国に比べ非常に少ない日本。学者は本当に貧乏していると嘆きます。ただ、わが国は地震大国なのですから、日本科学の英知をもって、防災を科学的に進めていければ、もしかしたらわが国の大きな産業となるのかもしれません。

 「地震とかプレートとか、まだわかんないことだらけなんですよ」
とその講師に言われました。そうなんだ… でも、研究ってすごいんですね。貞観地震から今回の地震が読めるとは… 今月から福島県と協議に入る予定だったとか… その矢先… 行政のほうの腰が重かったというのも、研究者や研究内容をどこかで軽視していたのではないかと思います。

 確かに、研究者は研究に没頭するあまり、一般人には理解しがたい部分もあります。が、池上彰氏のように分かりやすく説明してくれる「翻訳者」がいればいいことであって、わが国のため、国民のため、研究者はしっかりと研究してもらうことが大切なような気がしてきました。

 科学研究は私には出来ません。
 自分の出来ないことをやっている方に、純粋に私は敬意を表します。それがどんなに小さなことであっても、自分の出来ないことを出来ている人はリスペクトしなければいけませんよね。

 「口ばかりで、オマエ、何にもしてねーじゃん」
 そう言われないよう、小さなことでもアクションを起こしたいものです。

————-以下引用—————

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110328/dst11032819290055-n1.htm

「研究成果を生かせなかった…」貞観地震の研究者
2011.3.28 19:28 (msn 産経ニュース)
 「貞観地震の再来だ」。東日本大震災が起きた今月11日、超巨大地震のデータを目の当たりにした産業技術総合研究所の宍倉正展さんは「背筋が凍りつくような恐ろしさを感じた」と振り返る。宍倉さんらは宮城、福島両県のボーリング調査などから、869(貞観11)年に東北地方を襲った巨大地震・津波の実態を解明し、「いつ、再来してもおかしくない」と警鐘を鳴らしていた。だが、日本の災害史上最大規模の地震・津波は、研究成果を防災に生かそうとする途上で襲ってきた。
 「なぜ今、起きてしまったのか。1千年単位の長い周期のうち、たった数年待ってくれれば、防災対策を立てられたのに…」

 産総研で海溝型地震歴研究チームを率いる宍倉さんは、声をつまらせる。

 貞観地震の研究に着手したのは平成16年。宮城、福島県の沿岸の地層をボーリング調査で解析し、貞観地震の津波が運んだ砂の層の分布から津波の到達域を特定。太平洋沖を震源とする巨大海溝型地震が、大規模な津波を起こしたことを突き止めた。

 岩手県や茨城県ではボーリング調査による津波堆積物の特定が難しく、海水は砂層よりも内陸まで到達していたはずだ。「それを考慮すると、貞観地震の規模はマグニチュード(M)8・3より大きい」と推定。ボーリング調査では、東北地方は500~1千年の間隔で、繰り返し巨大津波に襲われていることも判明した。

 直近の巨大津波は、貞観か室町時代(14~16世紀ごろ)で、「いずれにしても、いつ起きてもおかしくない状態にある」と結論づけていた。

 「防災に生かさなくてはいけない」

 政府の地震調査研究推進本部に報告した成果は「海溝型地震の長期評価」に盛り込まれ、4月にも公表されるはずだった。推進本部は今年に入ってから大きな被害が予想される自治体に赴き、貞観地震再来の危険性を説明。しかし、自治体の防災担当者は「そんな長い間隔の地震は、対策を練っても仕方がない」と、鈍い反応だったという。

 「研究者自身が説明しなくてはだめだ」。宍倉さんは今月23日に、福島県の防災担当者に直接説明する予定だった。「絶対に、対策の必要性を理解してもらわなければ」と意気込んでいた矢先の3・11-。

 研究成果を防災に生かせなかったことが無念でならない。「1千年スケールの災害が起こり得ることを、行政の人たちも分かったと思う。同じ思いはもうしたくない」と、宍倉さんは声を振り絞った。(伊藤壽一郎)

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