ビジネスにおいては、「費用対効果」という言葉をよく聞きます。どれだけの投資をして、どれだけの効果を得るかということで、これを考えてビジネスでは何かを導入したりやめたりを考えます。例えばチラシひとつでも、たくさんの折込をしたとしても、かけた費用の分だけ返ってこなければ、費用対効果の面から、チラシ戦略を考え直さねばなりません。果たしてチラシが効果的なのかも考える必要があるんでしょう。新聞折り込みも一時に比べて随分減りましたしね(笑)
さて、こと学習についても同じことが言えます。
実際はこれを「費用対効果」、つまり「月謝対効果」と考えてしまうと、残念ながらお子さんの学習という面ではあまりうまくいきません。「費用対効果」は対象が方程式で考えられるもの、つまり「物事」でなければ計算が出来ませんが、相手が「人間」ということになると、不確定要素があまりにも多すぎて方程式通りの答えが出ないことがほとんどです。
極論を言えば、試験の1か月前から範囲を一通り学習させ、毎日少しずつ計算練習をさせて、1週間前までに漏れの無いよう学習を終え、直前の1週間で誤答箇所を再度学習、2~3日前に予想問題で仕上げをさせておけば、どんな子でも成績は上がりますし、良い成績が取れます。勉強など実に簡単なものです。しかしそれが出来ない子が多い。その原因は、学習の中身や塾の授業内容に問題があるというものではなく、大半は「やる気が無い」「勉強が嫌い」「面倒くさい」「逃げ腰である」などというところ。
ですから、なかなか方程式通りには行きません。むしろ、請け負った科目の学習指導に加えて、「何のために勉強するのか」「どうやったら成績が上がるのか」「勉強するとどんなメリットがあるのか」「勉強は面白いのか」そんなことを語ったり、諭したり、そういう雰囲気を作ったり、イベントを組んだり… その不確定要素の解決についてどれほどの力を入れているかが塾の良し悪しを決めるのです。また、その塾が本当にお子さんのためになるかが決まるのです。
今度のテストの成績を上げてください。単純にそれだけを請け負うなら、毎日塾に来させて、有無も言わさず、やる気のない子に詰め込みをすれば、きっと成績は上がるでしょう。しかし、次の試験でも同じことをしなければならず、さらには入試でも、その先のありとあらゆる試験で「塾」が必要になります。そして、「塾が何とかしてくれる」という子が育ちます。受け身の子。かつてそういう子にも随分と出会いました。まぁ、そういう子に限って塾を渡り歩き、結果は出ないという傾向が顕著ですが…
人間の本質、子どもの本質、勉強の本質を理解していない「塾」には、残念ながら「成績が上がらない」と勉強の相談をしに行っても無駄です。彼らの答えはたったの一つ。「授業を増やしましょう」 最終的にはここへ落ち着きます。実はそういう塾に「相談に行く」とは、「営業されに行く」のと同義なんです。結局1コマ授業を増やすだけです。彼らは、授業を増やすという解決策しか持ち合わせていないのです。授業を減らしたり、自分で勉強させたり、授業外でお話をしたりと、なかなかそういう点にノウハウがないのですね。授業を減らしたりしたら、自分の営業成績にもかかわりますから、そりゃもう必死です。
しかし、結果は変わらないはずです。人間は、費用対効果では測れないのです。答えは、子どもに本気で向き合うこと、そして俯瞰して物事を見ることです。次の成績云々だけで子どもの成長を見てはいけません。まずは一つのヒントを与える、そして結果を見て反省させ、次に生かす。その際、また一つヒントを出す。改善させる。大人は解決策が分かっていますから、知っていることをあれもこれも全部やらせようとしますが、これも子どものことが分かっていません。所詮相手は子ども。理解力も実行力も大人の半分以下ですから、まず1つの改善で良しとしなければなりません。時間もかかるし、費用もかかる。しかし、長い目で見て、じっくりと育てていくのが子どもです。一つ一つ進ませることが大事。
私の敬愛する先生のモットー、それは「手をかけずに目をかける」というものです。素晴らしい教育方針だと私も思います。「ああせい、こうせい」と手取り足取りやらせることは決してその子にプラスに働きはしないでしょう。しかし、つい大人はこの逆を行ってしまします。つまり、一時的には手足をがんじがらめにして勉強をさせるのですが、しばらくすると目が離れてしまう… これで成功した事例が無いのですから、やはり間違った教育方法なんだと思います。「手をかけずに目をかける」が正しいのでしょう。
桜学舎も基本的にはこの方針です。プリントだけ渡してやらせるだけの塾や、毎日来させる割にはほったらかしの塾じゃ成績は上がりませんし、かといってただ授業映像を見せるだけの塾や年がら年中授業をやっている塾でも成績は上がりません。
桜学舎はサービス業ではありません。事業内容を「教育業」と位置付けています。そのノウハウを我々は23年間で積み上げてきました。授業数と費用という部分以外にある桜学舎の「価値」をお分かり頂ける方が増えて頂けると嬉しく思います。
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