しくみを学べ

 復習のために、一度やったテキストをもう一度やらせている子がいます。もちろん自習時間にです。ところが妙に出来過ぎる… おかしいなぁ…と思って突っ込むと、要は以前やったノートを見て答えているわけです。まずそれを違和感なく出来てしまうことに驚いたのですが、さらには、単に数字を覚えて再テストに望んでいることが発覚。プリントばかりやらされて、再テストばかりやらされてきた子に多い傾向ですが、まさかここまで根強いとは… 正直びっくりしました。

 覚えることに意味があるし、理解することに意味がある。
 特に、「しくみ」を理解しなきゃだめだと説明しました。同じ問題、同じ数字の問題は出ません。ですから答えの数字を、「1番は5、2番は2、3番は7」なんて覚えて答えて、仮にそこでは丸をもらって家に帰れたとしても、同じような問題が出題されたとき、答えは違いますからまた解けないことになります。こんなの、全く無意味な勉強だし、それにかけた時間がすべて無駄。全く何も得ない無為な時間が流れただけであって、これでは勉強を「苦痛」としか感じられないものも無理ありません。

 「しくみ」を教え、「意味分かった?」と聞くと、何だか初めて聞いたかのように、「そうだったのか…」とつぶやいたその子。オイオイ、今頃かよ…とは思いましたが、こういうことを学校では教えてこないのだということも分かりましたし、なかなか大人の目が行き届かなければこうはいかないのだとも。

 そして何より、ただ丸つけだけしかしないような学習をいくらしても、学力は伸びないどころか、酷い後遺症が残るということも、このところ如実に感じます。幼いころ、「丸」「バツ」しか基準を与えられないと、勉強は「あてずっぽうにやるもの」「その場しのぎのもの」「単なる苦痛」「意味が分からないもの」ということしかインプットされなくなります。これじゃいけません。幼いころから学ばせるべきことは、「しくみ」です。

 世の中でもなんでも、仕組みを理解することがもっとも重要なことだと私は思います。
 ある方のブログの記事にも(私の尊敬する社長さんですが…)、社会の仕組みを理解するべきだとありました。ものすごく納得。
 たとえば、クレジットカード。なぜクレジットカードで払うとポイントが付くのか。あれは、もともとポイントの分を含んだ値段設定がされているのですね。ですから、カードで払ってポイントをもらい、幾分返金があることで初めて正規の値段になるのです。裏返せば、カードを持たない人、持てない人は、その分だけ割高な値段を払わされているわけです。
 また、別の経済書には、家電量販店などのポイントも、結局無利子でその店にお金を貸してあげているのと同じことだという解釈が載っていました。ものすごく納得しました。なるほどねーと。ですから、私は以来ポイントを大事にするようになりましたし、カードをきちんと管理して、きちんと払えるものはカードにしました。これも「しくみ」を理解するということになるのだと思います。

 理科、算数のみならず、社会でも国語でも、当然英語でも。仕組みを理解することが大事なんです。授業では我々は一生懸命「しくみ」を教えています。が、それを単なる表層的な現象としかとらえられない子もいます。これを覚えるんじゃないよ、どうしてそうなるかを理解するのだよ、と口を酸っぱくして言っています。仕組みをひとつ覚えれば、どんな数字になっても答えられる。やり方さえわかれば、あとは計算するだけ。そんな単純なことを理解するのに時間がかかる子がいるんです。

 大人は子どもをナメちゃいけません。いい意味でも、悪い意味でも。「こんなもんだろ」と思ったら終わりです。私たちは終わらせないから、かなり疲れますが(笑)、それでもちゃんと理解させたいと思います。

 昨晩も10時近くまで小6受験生が残っていました。お疲れ様。でも、ちゃんと分かって帰ることが大切ですね。
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