100ます計算で有名になった陰山英男氏の「家庭力」という本が、朝日文庫からタイトルも新たに「親が伸びれば子は伸びる」として出版されました。
陰山氏の著作ももちろんですが、私はここ数年「陰山手帳」を使っていました。100%満足というわけでもありませんでしたが、気に入った手帳が無いときはリフィルを自作していたくらいの手帳マニアな私ですが、今の生活スタイルに実に合っている手帳だと感じて使い始めて数年。実は来年は違う手帳に乗り換え予定ですが、いい手帳でした。ですから、陰山氏にはちょっと親近感があります(笑)
さて、本書の内容は、家庭向けに書かれているだけあって、保護者、特に母親向けの言葉が多く収録されています。長い文章もあれば短いコラム的なものもあって、様々なところへ寄稿したものをまとめたのかもしれません。筆者の言葉は実にまっとうで共感できるものであり、私が言いたいこと、書きたいことの大半を代弁してくれているようにも思います。ですから、是非保護者の皆さんには一読をお勧めしたいのです。
「やはり現場に出ている人は、分かってるなぁ…」と思うのは、例えば「子どもの嘘を見抜くには、親の忍耐力が必要」などという部分です。その通りだと思いますし、前提が正しいのです。どういうことかといいますと、本書にもある通り、今、親やマスコミ、評論家などは、「子どもは絶対的な善」だと扱います。純粋無垢な子ども、最初から悪い子などいない、悪いのは大人… そんな風に扱う風潮があります。
しかし、そうでしょうか? 自分が子どもだったころをよーく思い出してみてください。あること無いこと適当に繕って言い訳をしていませんでしたか? 自分が叱られないために、調子のいい嘘をついていませんでしたか? 嘘がバレそうになってさらに嘘の上塗りをしませんでしたか? 絶対的な「善」などというのは、評論家の発想。子どもは大前提として「嘘をつく」ということを知らねばなりません。
「宿題を忘れました」と正直に言う子は、桜学舎でもそう多くはありません。
「ノートを忘れてきてしまったので、明日でいいですか?」
「やったのだけれど、自宅の机の上にあります… 来週必ず持ってきます」
「やるところを勘違いしてました」
ひどい子になると、「先生は先週宿題を出しませんでしたよ」などと堂々と言ったりします。しかし、「ノートを持ってくるのを忘れた」という子に、「では、今から取りに帰ってきて」と言うと、かなりモジモジし始めます。
「取りに帰るのは面倒くさいから、もう一度やっちゃいますよ」
などと言い出す子もいます。いや、取りに帰れと再度指示すると、観念するのか、「忘れました」と白状します。
これが子どもってものです。嘘とばれるような嘘を平気で吐くのです。自分に都合のいいことしか言わないという嘘もあります。
しかし、こういうことを指摘すると、自分が責められているかのように感じて慌てだす大人・保護者が多いのです。
そして、「わが子なので信じたい」「うちの子が悪いっていうのですか」「本人は違うと主張しています」などと、かばってしまう親が多いのです。もちろんわが子ですから信じたいのは当たり前ですし、信じようと思うのも当たり前です。しかし、どう考えても嘘でしょう?というようなことまで盲目的に信じたりすれば、自分が嘘を吐いていると知っている子どもはどう思うでしょうか?
「親なんて楽勝」「親は簡単に騙せる」
こうとしか思わないのです。すぐに言っていることがブレてしまう親なども、子どもは観察しています。適当に煙にまけば自分のやりたい放題になる… そう思ったら、子どもは嘘を平気で吐くようになります。親は簡単に騙せることを学習させてはいけないのです。子どもは基本的に見え透いた嘘を吐きます。それがカワイイのです(笑)
ですから、わが子の嘘を見抜く力も親には必要です。単純に盲目的になると、もし間違っていたらいい笑いものですから。もちろん、わが子の主張もゆっくりと聞いてあげる必要があります。わが子が悪くない時も多々あります。しかし、所詮子どもが言うことですから、話半分とは言わないまでも、3分の2程度に聞いておいて、その中の嘘を客観的に暴いていく必要があるでしょうね。その上でしっかり諭せるかが勝負です。
そして、そこで「大人にはかなわない」ということを学習させねばなりません。子どもの言うことに言いくるめられたら終わりです。大人が、子供の振り回す屁理屈にやり込められてはいけないのです。そのためには、徹底した「理論武装」が必要なのです。子どもを納得させる、「伝わる言葉」が必要なのです。そして、嘘を吐かない子どもを作ることが大切なのです。
私は、生徒程度ならばすべて理論武装で屁理屈を説き伏せることはできます。子どもの嘘も大抵は見抜けます。ゆえに塾長なのでしょう。私にはかなわないと思っている子もいるでしょう。家庭内で、親がこんな存在になれば、子どもはまっすぐに育ちます。しかし、子どももさるもので、巧妙な嘘は見抜くのが大変です。ゆえに、「子どもの嘘を見抜くには、親の忍耐力が必要」なのでしょう。時には嘘をあえて見逃す時もあるでしょう。徹底的に攻め込む場面もあるでしょう。しかし、焦って、親がいちいち全部、一挙手一投足管理していてはダメです。お釈迦様の手の中で遊んでいたに過ぎない孫悟空と同じように、しばらく遊ばせておくくらいの力量が求められるのです。
私の主張したいことが山ほど掲載されています。この本からテーマを拝借して、私なりのお話を後々ブログに書かせてもらおうと思っています。その前に、是非ご一読を!
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