国語の時間。
「白い画用紙」の上に、黄色い絵の具がポタリと落ちたという詩。
「まんさくの花が咲いた」と子供が喜んだという内容。
この季節を問う問題で、「夏」と答えた子が結構いました。
「え?」
白い画用紙と言えば、連想するのは「雪」
そこへ黄色の花が咲くと言えば、暖かくなったと連想するでしょう。だから「春」ですが、そういう季節感も、また文中の根拠の中から解答を導き出すことも出来ない子が実際多く見られます。
で、冗談抜きで、これは「日常の言語生活」がかなり影響しています。
ちゃんとお話し出来ない子がいますが、確実にこういう傾向が見られます。今日学校であったことを説明するにも、何度も何度も聞き返さなければ意味が通じない子は、国語でも「ことば」から実際の風景や行動を考え、想像すること、推測し描写することがが出来ない傾向にあります。国語の問題としては、これは致命的です。
国語が苦手であるという子は、やはり「言葉」だけで何かを伝えたり、何かを受け取ったりすることが出来ない子です。これは、長年の国語指導の経験からも、一朝一夕にはいきませんし、机上の学習のみで何とかなるものでもありません。何とかなると言ってしまう指導者は、単にテクニックで乗り切らせようとするだけなのだと思います。
日常の言語生活の中でも、かなり問題がある子がいます。
例えば、親御さんが子供の言うことを待てないケース。たどたどしくも、何かを一生懸命説明しようとしているときは、じっくり待ってあげる必要があるのですが、
「何? 〇〇ってこと?」
と、先回りして、予測して答えを出してしまうことがありますが、こういう環境下ではなかなか子どもの言語能力は伸びません。全部正確に説明するまで、じっくり付き合ってあげること、つまり、不足部分もきちんと本人に言わせることが重要なのです。
すぐ、映像や絵に頼ってしまうことも問題です。
よく、国語力を伸ばすには本を読ませるという話がありますが、あれもほとんど誤解されているところがあって、本を読む人間が国語力があるわけではありません。本を読んでいても、「飛ばし読み」「誤読」「主観的な思い込み」などで読んでいる場合、何の意味もありません。また、批判するわけではありませんが、推理小説やライトノベルなんかも読まないよりはいいのでしょうが、さして役立つものでもありません。主観的ですから。
小説でも物語でも、想像を豊かにしないと分からないような作品を読ませたり、抽象的な概念の説明文や、科学読本など実用的なものを読ませるのがいいのだと思います。つまり、読書自体に効果があるのではなく、文字情報のみを受け取り、その情景や意味を頭の中で想像し、再構成して、また自分の中で新たな「思考」が出来るような、そんな読書に意味があるのです。やみくもに本を読ませても成績が上がるわけではありません。
つまり、「ことば」だけで伝達し、受け取る。映像などに頼らない。これが重要なんです。
それには、まず、文字情報を子供の周りにたくさん置くことです。何も本だけに限りません。好きなスポーツ雑誌でもOK、趣味の雑誌でもOK、新聞(小学生新聞)でもいいですし、それこそ地下鉄に乗った時にはメトロニュースを手にするといった、そんな「文字情報」を身近に置くことがとにかく重要です。
どうしたら、「白い画用紙」と来て、夏を思い浮かべるのでしょう?
「何で?」
と聞くと、いや、別に…と。
これじゃいかんです。
豊かな言語生活を、ご家庭でも演出を。
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