根津神社へお参りに行きました。丁度今はつつじ祭りで人出も多く、賑やかでした。いろいろな目的があって行きましたが、何はともあれ結婚〇年のお礼参り。私達が式を挙げた場所ですから(笑) 一鉢つつじを買って帰ってきました。
「赤いインクがバケツ一杯あって、そこに墨汁を一滴落としたら、何色になる?」
と生徒に質問しました。
突然だったので、何を聞かれているのかよく分からなかったようですね(笑)
「うーんと、赤…?」
だよね? バケツ一杯と墨汁一滴じゃ、やはり黒くはなりませんよ。じゃぁ、白い水滴を墨汁バケツ一杯の中に落としたら? 黒のままですね。
何が言いたかったのか。
水滴は自分。一人の自分です。バケツは集団。環境。つまり自分が入る器です。入試においては、進学する学校と置き換えることが出来るでしょう。赤い学校に行けば、自分が何色だろうとやはり赤くなりますし、白くありたいと思っていても、黒い集団に属せば黒に染まります。
こんなことを言うと、物わかりの良さそうなオジサン(私もそうか…(笑))に限って、こんな達観したことを言ったりします。
「どんな環境へ行っても、自分さえしっかりしていれば大丈夫なんだ」
「恵まれない環境から立派になった人だっているんだ」
確かに理屈はそうです。
しかし、そんなこと、「普通の」人が出来るでしょうか?
残念ながら、私は普通レベル(それ以下??)なので、私には「自分だけがしっかりする」なんてことが出来ません。やはり友達と遊ぶ機会も増えますし、話す内容もそれなりになってきます。自分でも、良い時期、悪い時期を経験してきたからこそそれが実感的に分かります。
人間は環境でかなりの部分を左右されます。これは教え子たちを見ていても本当によく分かります。
かつて、イジメられっ子で、勉強も出来ず、変わった子だと評されていた子がいました。腕っぷしばかりが強く、彼をいつも従えていたような子も知っています。前者は某私立へ、後者は某都立へ進みました。
前者の子は私立の先生に一生懸命励まされ、また友達も出来ないながらも穏やかで、上を目指そうと頑張る子。そういう集団に属しました。後者の子は都立でしたから自由奔放。部活もやってるんだかやってないんだか… 毎日フラフラと遊んでいたようなことを聞きました…
3年後。前者の子は、「先生、春から大学生になります。社会科の先生を目指して頑張ります」と報告をくれました。後者の子は大学には行かなかった様子。前者が大学に…と聞いて、腰を抜かしたのでは…と思います。どんな集団に属するかというのは、こんな違いが出てくるものです。
もっと卑近な例で言えば、手のかかる「暴れん坊」「ヤンチャ娘」が、桜学舎に来るととても落ち着くという例が多く見られます。小学校低学年の子など、最初はギャーギャー言っていたり、逆に一言も発しないほどだったりしますが、しばらくすると第二の家庭のようにいろいろなことを私達に話し始めます。何も言っていないのに、毎日自習に来る子すらいます。授業が無いのに来てお話して帰っていく子もいます。ご両親が共働きで、家に帰っても一人で寂しい、つまらない…という子もいますが、ゆえにヤンチャだったりする子が、桜学舎に属するだけで落ち着く例も多々。私達も受け入れますからね、こういう子も。同じ塾でも、時間に行って、勉強だけして、時間に帰れと言われるようでは、なかなかそんな変化は見られないでしょう。
手前味噌ですが、私達に出会って、自分の人生が変わったと言ってくれる教え子も数多くいます。社会人になったり、家庭を持ったりした今も時々集まって同窓会を開いてくれることもあります。我が家に遊びに来る子もいます。今や、小中高の先生の家に遊びに行くという関係を築いている生徒っていないでしょうね。でも塾長の家に遊びに来る子がいる… 何とも不思議ですが、それは嫌なことではないし、それが可能なら喜んでくれる子も結構いるものです。つまり、人は必ずどこかの集団に属したいし、その属性によってかなり影響があり、人の人生すら左右することがあるということなのです。
受験というのも、これを自らの手で選び取っていく経験だと、私は思います。中3ならば、今までのように与えられた環境ではなく、まずは自ら「高校」という環境を選び取るという経験、これが重要なのだと思います。そして、「こんなもんでいいや」「わかんないから、テキトー」ではなく、自分事としてちゃんと調べ、考え、結論を出し、そしてその目標に向かって努力し、結果を出すという経験。これが受験の最大の効用なのだと私は考えます。
その先、大学があり、就職活動があり、もしかしたら転職したり、起業したり。
結婚だって自分の選択、子育て、マイホーム、そして自分のミッションを達成する… これって、みんな自分が選び取っていく「未来」なのだと思います。その時に属している環境が異なれば、きっと異なる未来が待っているのだと、私は思います。
決して環境依存をしろということではありません。他力本願であるということでもありません。しかし、単純に言えば、100人が100人大学に行こうという環境に居れば、自分が大学を目指して受験勉強をすることに何ら疑問を挟む余地がないものですが、100人中2人程度しか大学に行かない環境に居た場合、マイノリティとなって受験勉強をストイックにし続けられないかも知れませんし、大学に行くこと自体に疑問を持ってしまうのかもしれません。大学に行くことだけが良いのかどうか…という問題は置いておきますが、少なくとも属する集団によって、「常識」が異なるのは事実です。
だから、頑張る価値があるのだ。
そう、子ども達に語りたいと思っています。
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