【書評】日本国憲法を口語訳してみたら

36小6社会でも、中3社会でも、公民分野の勉強をすると、真っ先に出てくるのは「日本国憲法」です。日本国憲法の三大原則「国民主権」「戦争放棄」「基本的人権の尊重」は入試問題でも問われますし、お題目のようにありがたく唱えられるものであり、自由や平和の象徴だったりもします。

最近、一つのフォームに当てはめて、人の考えをカテゴライズしないと理解が出来ないような風潮がはびこりつつありますが、私はなんだかよく分かりません。政治的な一つの考え方はありますが、それを強調することもありませんし、強く主張したいとも思っていません。

「先生は政治家になればいい」
などと言われることもありますが、そんな賢さもなければ世渡り上手な部分もなく、3日でブログが炎上して辞職ってのがオチでしょう(笑) ですから、そういうことはやらない。塾の先生くらいが本当にちょうどいいのだと思いますが、ふと、「日本国憲法」をもう一度読み返してみる必要があるなぁ…とは思いました。憲法をしっかり読んでいない人が殆どでしょう。

私が中学生の頃、「日本国憲法」という本が流行りました。単に日本国憲法が書かれているだけの本ですが、写真集のようになっており、ちょっとオシャレで考えさせられるような構成にはなっていたのです。流行っているものには手を付ける私、中学生の頃にその本を手にしました。ですから、公民の授業が始まる前に日本国憲法を読んでいたのです。以来、憲法には何度か触れてきました。行政書士の勉強も、憲法学習から始まるのですね。

そんなことを考えていた折に、ふと書店で見つけて手にしたこの本。愛知大学の若い学生さんが教授監修のもとに上梓したのだとか。とても興味深く読み始めました。

最近は学者や言論の世界も、古市憲寿氏、開沼博氏、そして我が大学の後輩・荻上チキ氏など、若い、それも相当若い方々が活躍し始めています。線の細い、草食系のイケメン?のような共通点がありますが、もうオッサン・オバサンの時代でもなくなってきているのかもしれません。

若い世代が、あの憲法をどう解釈したらよいのか、というテーマが根底にあるのだと思いますが、その前にまず憲法自体を知ろうよ… ハードルはもっと手前にあるのかもしれません。昔、文語と口語が別物だったために、一部の階級の人間しかなかなか理解できなかった「書」が、二葉亭四迷の言文一致体完成により、庶民に大きく門戸が開かれたのと同じく、「国民」を「俺たち」、「惨禍」を「ひどいこと」などと表現することで、若者が「憲法に何が書かれているのか」を理解するきっかけになるとするならば、この本はとても意義あるものだと思います。

実際、読んでみて、実に痛快であり、「上手いこと言うなぁ」「なるほどなぁ」と、若い世代の感性にも感心しましたし、そこには憲法学者である監修教授のアドバイスやら、学問的「裏付け」が存在しているところにも、単に面白おかしく憲法を読みかえてみただけではない深さと意図があることが分かります。是非、監修した教授のあとがきまでお読み頂きたいところです。

若者だけではない、大人もこれを機に、是非我が国の憲法にもう一度触れてみることは大切なことだと思います。意外な発見があるのではないかと思います。

塚田 薫 (著)長峯 信彦 (監修) ¥ 1,155 幻冬舎

関連記事

  1. 【書評】絶海の孤島

  2. 【書評】間抜けの構造

  3. 休脳

  4. 動物農場

  5. 親が伸びれば子は伸びる

  6. サヨナライツカ

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

塾長ブログ

2013年10月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031