哲学が無いと、人は悩んでしまうのだと思います。
私の周りにも、「悩んでしまう」人が時々います。なぜそんなことで精神的に参ってしまうのか不思議なのですが、それでも悩んでしまう人はいるものです。
子どもというよりも、社会人。若者です。社会に出れば、学生のような甘っちょろいことが許される訳もなく、「誰かが何とかしてくれる」などという甘えもまかり通りません。そんな当たり前のことを理解出来ず、また頭で分かっていても受け入れることが出来ずに、モラトリアムを伸ばし伸ばし生きているような「リハビリ中」みたいな若者は結構多いものです。
私が言う「哲学」とは、学問的な哲学ではなく、まぁ何と言うか、それは「生き方」「人の道」についての教育とでも言いましょうか、「これはこういうもんだよ」と諭されて来るような、物事のとらえかたというか、常識といったようなものです。
例えば仕事で失敗したらどうそれを取り返すか…なんていうことですね。よく「責任を取って辞めます」なんていう若者がいて苦笑しか出来ませんが、「若造が辞めても何の責任も取れないんだよ」と諭すのが大人の役目でしょう。地位ある方が辞職することはペナルティになりますが、新米の首なんて何の価値もありません。失敗で会社に損害を与え、退職することで更に会社にダメージを与えることになるので、その失敗をどう挽回するかに注力するのが若者の正しい考え方でしょう。
「そういうものなんだよ」
と教え諭すことで若者も育っていくのでしょうが、どうも今の子は気質が異なるように思います。
自分の適性にあったものがほかにあるはず…と流浪する若者 それを諌めない親
自分の職場の若者がそんなことなら批判の嵐のくせに、自分の子には甘い傾向は笑い話かと思きや、結構そんなものです(笑)
また、仕事や人間関係が辛い時に、どうそれを乗り越えるかを教えるのが教育だと思いますし、その経験を積み重ねていくからこそ人間は成長し、周囲とも上手くやって行く方法を学び、「大人の対応」が出来てくるのだと思いますが、どうもそれが正しく成長過程を踏めず、「大人子ども」になってしまっているいい歳をした若者が目につきます。人間関係のトラブルがあったとしても、どうその関係性を取り戻すのかが、最終的には生きる力になっていくのではないかと思います。
逆に、トラブルがあったらすぐに職場を辞めるということで問題を解決してくると、その人は延々とそれを繰り返す羽目になります。どうしても仕方ない場合ももちろんあるのでしょうが、安易に逃避させるのは教育ではないと思います。
かくいう私も、若いころ一度だけ就職した会社の社長と意見が対立し、辞表を提出して退職した経験があります。最後の頃はもう出社するのも嫌でしたし、何だか喧嘩別れのような様相になってしまいました。しかし、随分年上の同僚から、「そういうものではないよ」「あなたもこれから先この業界で生きていくなら良くないよ」と諭されました。最終日、社長は私を飲みに誘い、お疲れ様でしたと記念品を出して下さいました。「負けたな…」と思いました(笑) この大人の対応に、本当に完敗したとあの時感じました。そういうものですよね。自分がけつっぺたの青いクソガキだったと、本当に恥ずかしく思いました。大人とはこういうものだと、そして「ああ、やっぱりこの人の方が全然上だったなあ…」と深く感じ入りました。帰りの電車の中、その諭してくれた同僚に、「本当にありがとうございました」と言ったのを覚えています。
「ゆとり」「個性」「あなたらしく」「世界で一つだけの花」なんて言われて、何でもいい、あなたが考えた通りでいい、あなたには無限の可能性がある、もっと自分らしくいられる場所を探せばいい…なんて盛んに言われた時期がありましたが、一体あれは何だったのでしょうかね?
今、あの教育を受けた子たちは、結構彷徨っています。自分が見つけられなくて困っています。思い悩んで病院に通っている子もいます。何か仕事をやり始めても、「これでいいんだろうか?」「これは私がやりたいことじゃないんじゃないだろうか?」「もっと私が輝ける職場があるんじゃないか?」なんて思って、目先のことすらやり遂げられなかったり、目の前のことに没頭できなかったりするあまり、何の専門性も、何の経験も持たずに社会を放浪している若者も少なくありません。
斉藤一人さんが書いた、「変な人が書いた世の中のしくみ」という本がありますが、是非読んで欲しいなと思います。
「配られたカードで勝負する」「神様が作ったものに文句を言ってはいけない」「理想は高く、努力も高く」「楽しく働いた方がカッコイイからね」「成功以前の基礎が大事なの」 まったくその通りですね。
世間とはこういうもの、人間とはこういうもの、生きるとはこういうこと、そういうところを教えられる大人が少なくなりました。若い人には、ある種の「人生哲学」がきちんと心に持って欲しいなぁと思いますし、生き方における「美学」みたいなものも徐々に形成できていくと、それこそが「自分らしさ」になつがっていくわけで、ふわふわと放浪するのではなく、与えられた環境で、目の前のタスクを全力で妥協なくこなしていくことで見えてくるものは多いのだと思います。
でも、そういうことを若者に話す場合、大人の方が、その若者がきちんと聞いてくれる人格でなければいけないでしょう。つまり、「若者が耳を貸す対象」にならねばならないのだと思います。
突き詰めれば我々大人がだらしないんだという結論になります。
若者にお説教をして、そのお説教をありがたいと思ってもらえる存在にならなかったら、「単なるウザいジジイ」でしかありませんからね。聞いてもらえる大人になるべく、私も修行が必要なのでしょうね。
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