それは最大級の侮辱だと思う

毎月お送りしている「上野桜木通信」も、間もなく通算100号を迎えます。

ブログ「さくらのまなびや」は2008年7月のスタートですから来月で7周年、それ以前のブログは2004年8月スタートなので、間もなく11年になります。11年間、塾の営業日には必ず毎日ブログを書いてきました。

でも、文才があるからブログを書いたんじゃありません。文章力を身につけるために、これからは情報発信力が勝負になると考えて「努力」をしてきたのです。お陰様で、この「文章力」で私は飯を食ってきました。大資本も、豊かな人材もなかったわけですから、お金をかけずに自分の考えややっていることをお伝えしていくには、こういうスキルを身に付けねばならなかったのですが、それでも毎日欠かさずというのは自分で振り返っても「積み重ね」になったと思います。桜学舎が毎年生徒数を伸ばし、気が付けばそこそこの生徒数になっているのも、この文章力のおかげです。他所が真似できないノウハウだと思います。

時々、同じような経営者に「生徒を集める秘訣は何ですか?」などと聞かれることがありますが、通信やブログを書いた方がいいと話すと、「スゴイなー」なんて感心されます。しまいには、「貴方は能力があるから…」「才能があるから出来るんですね…」「私には出来ないなぁ…」なんて言われることがあるのですが、「オレに才能なんてないわい!」「バカにしてんのか? 努力を続けてきてんだよ!」とキレそうになる衝動を抑えることがあります(笑)  そういう人に限って他力本願だし、アドバイスを求めるから親身に答えてやっても結局は無駄。自分で勉強もしないんですよね。

上手くいっている人は「自分とは違う才能のある人」、上手くいかないのは何か自分の知らない秘訣があるに違いない… 自分では結局努力もしないし、スキルを身に着けようともしないし、人が見えないところでどれほどの努力をしているも想像しえない、そういう人って、結構大人の世界でも多いんだなぁと感じます。

大人ですらこうなんですから、子どもはこんな子がかなりいます。自分は馬鹿だから勉強が出来ない、○○ちゃんは頭がいいから成績がいい… そんな理解をしている子は、私はコテンパンに言うことがあります。「バカにしてんのか?」と。そんな子に、一体どれほどの努力をしたのかと尋ねると、宿題はやってない、授業は聞いてない、テスト前に問題集をちょっとやってみた程度、漢字も英単語も覚えていないし計算練習もしていない、理社の暗記も手つかずで試験を受け、「オレは頭が悪いから…」などという子の何と多いことか!子どもには、たかだか学校の勉強程度のことに才能など関係しないこと、そして「結果の差」は「努力の差」であることを徹底的に教えておかないといけないのだと感じます。

そして、お父さん、お母さん方にも、無意識にこんな言動をしてしまう方がいます。成績のいい他所のお子さんに、「おたくの子は優秀だからぁ…」なんてお世辞を言うことがあるかと思いますが、果たしてそれは「謙遜」や「敬意」なのでしょうか? とらえようによっては、もともと優秀なんだから出来て当然よね、いいわね…という風にも伝わります。

そして自分のお子さんにこれが伝えていないでしょうか? あの子は優秀だから遊んでても成績がいいけど、お前は凡人なんだから勉強しろ… そういう論法になってないでしょうか? 全然違います。あの子は優秀だから成績がいいわけじゃないのです。「オマエなんか比較にならないほどの努力をしてんだよ!」と言い放ってやるべきなんですね。

「あの人はアタマイイ」とか、「才能がある」とか、そんなのは決してほめ言葉ではなく、最大級の「disり」「侮辱」だと思います。

かつて「安打製造機」と異名を取った巨人の張本勲選手は現役時代にインタビューに答えた中で、「これほどの努力を、人は天才と言う」と洩らしたとか。一本のヒットを打つために彼が毎日どれだけ努力をしているか、人はそれを見ようとしないで、「打撃の天才」の一言で済ましてしまうことを皮肉った言葉です。「天才」というある種の褒め言葉は、その陰で流された汗や涙もなきものにしてしまいます。人の努力を察して、「努力の天才」になることが今の子どもに求められることだと強く思います。

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