「そんなんなら、桜学舎やめるからねー!」
という衝撃発言(笑)長年通ってくれている女子中学生の言葉です。
私が今後の桜学舎の方向性はVLになっていくんだとお話しした場面でのこと。まぁ、冗談でそう言ったのでしょうが、なかなか移行していくのには時間をかけないと難しいなぁと思った場面でもありました。
今から10年以上前、千葉県の片田舎で塾を開いていた際、一番苦労したのは講師の募集でした。そもそも大学が千葉大くらいしかありませんし、正直その他の大学では塾の講師ができるレベルの学生ではありませんでした。もちろん、東京の有名大学へ通う生徒もいたのでしょうが、そんな学生たちがわんさか応募してきてくれるような塾でもありませんでしたので、なかなか塾運営には苦労しました。自前の卒業生講師を多用したのもこの頃が初めでしたが、それにも限界がありました。そこで取った手段は「映像授業」 私の授業をハンディカムで撮りため、VHSのビデオテープに落として、テレビデオを並べた教室で見せて、問題演習はプリントやテキストで。そんな個別指導をやって成果を出していました。
あの頃は、ビデオ見せて商売してるなどと笑われたものですが、今や映像授業真っ盛り。大手予備校もライブ授業を捨て、映像授業で教室展開していますし、名だたる塾も映像コンテンツを作って中小の塾に配信しています。受験サプリや勉強サプリに代表される、スマホへの映像授業配信や、ついには家庭教師のTは映像授業を無料で…と言いだしました。もう、なりふり構わぬ顧客の奪い合いに、相当な過当競争担っているのだなぁと思います。
桜学舎塾長も10年以上前にそんなノウハウを積み重ねたことがあるので、映像に飛びつくのかとおもいきや、意外にもこの8年ほどは「人海戦術」でやりくりが出来てしまいました。優秀な講師に恵まれてきたという偶然もありますが、単にそれまでのスタイルで伸ばせるだけ伸ばしてきたというのが正直なところ。ですが、やっていくうちに私たちのやりたいこと、提供したいことにイマイチ届かない部分があることも見えてきているのも事実なのです。
個別指導はなかなか「知識導入」が上手く行かないことがあります。桜学舎のみならず、個別指導塾というところにはそのジレンマが存在します。つまり、解説授業が中心ではなく、問題の解き方指導になってしまうケースが多いということ。もちろん、プロとして、また一生懸命取り組むアルバイトとして、技術向上を図ってくれるスタッフもいるでしょう。桜学舎はそういうスタッフに恵まれてきましたが、それでも100%とは言い切れません。講師も得意分野や不得意分野がある場合もあります。ゆえに、その「説明」「解説講義」の部分を映像化したいというのが今の狙いです。問題演習をさせて、そのフォローをしたり、生徒の弱点を発見して、出来ないところを得点化していくというのは現在の桜学舎でも他塾の追随を許さないほど「出来ている」部分ですから、ここに導入の強化がなされれば、ほぼ私たちも満足のいくクオリティのものを提供できることとなるかと思います。
が、そうなると生徒との接点が減るのでは?と思われがち。冒頭の生徒はそこを心配して、「先生たちと話せなくなっちゃうのなら桜学舎やめる!」と言ったわけです。そんなことはないわけで、むしろ「授業」への講師の負担を軽減することで生徒対応やフォローにより多くの時間を費やすことができます。つまり、生徒ともっと「お付き合いする時間」を増やすために、こんなことを考えているですね。そう話して少しわかってもらった感じです。
映像授業の価値というのはとても難しくて、映像授業を配信できる時代になったら塾なんて行かなくていいじゃないか!という意見も以前はありましたが、結局自宅で映像はなかなか見ませんし、自分でできると言う方に限って自分ではできないことが殆どです。小学生の頃は有名な通信添削をみなさんやりますが、あれをきちんとやり切れる子が殆どいないというのが実情で、そのフォローをしてくれる塾のフランチャイズ募集が始まっていたりします(うちにも来ましたが本末転倒もいいところなのでやめました)ですから、映像授業の自宅やスマホへの配信など、いくら安価であっても、無料であっても、極めて少数の「使える人」以外にとっては全くの無用の長物になるのが現実でしょう。
桜学舎でもこのところ急速に、高校生・大学受験対策「ベリタスアカデミー」のほか、「公立中高一貫校対策講座」「大学推薦・AO対策講座」の映像講義を導入し、さらには「中学生VL」講座の映像は自前で作成しクラウドから引っ張り出してiPadで視聴させる方式をとっています。昨年VLを開始した際に、iPadを導入したことが「先見の明」につながり、これまた硬筆習字から移行した「速読」もiPadを使わせることに成功し、今や小学生は殆ど週に数回iPadを使うことになっています。画面を見て学習するという習慣が自然についてきていますし、その集中力が計り知れないということも実証的に分かってきています。
今後、桜学舎オリジナルの映像授業を撮りため、この映像展開を全学年に広げていく予定でいます。でも、だからと言って今ある個別指導をやめるわけでもありませんし、先生たちがいなくなるわけでもありません。生徒たちとの接点と学習管理・アドバイス、そして何より生徒たちと話す時間を増やすために、今まで「手間ばかりがかかっていた部分」を機械化することで、より効率のいい合理的かつ効果的な指導にするために、新しい試みを続けていきます。目標は来年度から少しずつというところでしょうか。そして、そのノウハウも、決定打も、8年溜め込んでいたものをようやく出してくる感じです。年後半はすこしそんな試みと努力を積み重ねて、また新しい時代に新しい教育を提供できるように頑張ります。
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