金曜日は「後期集中授業」の日。もう2週間も「始礼」でお伝えしているのですが、それでも間違えてきてしまう子が何人もいました。ちゃんと聞いててよぉ…(笑)
また、必ず5分10分と遅刻してくる子は、この「始礼」を聞き逃します。授業前の連絡事項は全員に徹底させるために行っていますので、きちんと聞いておいてもらわないとそれ以上一人一人に確認するわけにはいきません。
さらに多かったのは、前日に「今日集中授業の案内の紙が出てきました…」というもの。もらったプリントは必ずお家の方に出すよう指導していますが、それでもなかなか出せない子もいるんですね。金曜日はあいにく申し込みを出していただいた方で全席満席になってしまいましたので、残りの方は後日少しずつ消化するか、1月8日に消化するかということになります。また改めてご連絡しますが、どうぞご理解とご協力をお願いします。
さて、そんなわけで久々に私も授業にガッツリはいりました。しかも個別指導の授業。久しぶりだったなぁ。
だからなのか、生徒がいつもよりもお話してくれました。
授業の一つで、英語を教える中学生の隣で中学受験生の「公民」を教えていたのですが、国の唯一の立法機関が国会だというところで、安保法案の話になり、「ああ、あれなのか!」と実感を持ってわかった小学生。すると、隣の中学生の方がその話にかなり突っ込んで質問してきました。
日本は戦争するのかとか。
私たちも兵隊になるのかとか。これはおそらく徴兵制のことですね。
アメリカのいうことをなんで聞くんだとか。
あれあれ? そういう疑問は、周りの大人は教えてくれないの?と聞くと、全然だという返事。
「学校の先生はどう教えているの?」
と聞くと、これまたノータッチなんだとか。
そうですよね、いくら平和教育に熱心な先生でも、あまり偏った政治主張をするとこの時代叱られることもありますからね。特に安倍首相批判のビラを配布して怒られた小学校の先生が報道されたのもありますから、先生も慎重なんでしょう。親御さんもそこまで深く話せないというところもあるでしょうし、そもそも反対だの賛成だとと息巻いている大人たち自体が、一体どれほどあの法案を読んで自分の意見表明をしているのかは甚だ疑問です。厳しいことを言うようですが、これだけ情報が溢れ、説明がなされても、勉強しないし理解も進まない国民が、これ以上丁寧に説明されても劇的に理解が進むなんてことはないんじゃないのかなぁ?なんて悲観的に思ったりします(笑)
そんな私だって法案を全て読み込んでイッパシの政治評論家気取りが出来るほどの人間でもありません。いや、普通、全力で仕事をしていたらその余裕はなかなか取れないものですよ。日々の生活で精一杯というのが一般国民の姿なんじゃないかなぁ? あくまで私見ですけどね。もちろん立派な方は沢山いるというのは前提で。
ただ、考え方というのは教えてあげられるなぁと思って、その生徒の疑問に答えました。それは、
1)日米安全保障条約が存在すること →ここから分かってなかった
2)自衛隊の立場 →PKOとかイラク戦争とか、そういうのも全然分かってなかった…
3)今すぐ戦争になることはないだろうけど、リスクは高まるのも事実
4)平和を守るためのリスクとコストも考えないとね
5)賛成の人も反対の人もそれぞれ主張がある
だいだいこういうことを教えて、大事なのは必ずA面とB面をセットで考えることだと教えました。
無知な人間ほど、人に言われたこと、マスコミで流れた情報などを「丸呑み」して、一面的になりがちです。すぐ信じてしまって、多面的に物事を考えられないのがとても危険だとも。
例えば、この安保法制でも、単に危ない、危険だ、戦争だというマイナスなことをだけを「安倍首相」「自民党」が進めるわけもなく、それなりに意義のあることだと思っているから推進しているわけで、まずその主張を「理解」しなさいと。これがA面。
そして反対意見にもそれなりの理由があるのだから、 反対の理由、反対の主張をこれまた「理解」しなさいと。これがB面。
物事は必ず、A面があれば、セットでB面がある。いい面と悪い面は常にセットで存在するのだから、信じたい方だけを見てはいけないと。両方並べて、比べて、考えて、自分が正しいと思った方を信じればいいと教えました。そしてもう一度聞きました。
「こういうことって、誰も教えてくれないの?」
私は、高校の先生にも教わりましたし、母にも教わりました。友人達との話の中でもこういう話は出てきて、いろんな意見を聞いて自分の考えがまとまりました。とにかく、先入観を持たずに、賛否両論並べて比較検討することの必要性を強く感じました。
その子は、なるほど…という顔をしながらも、少し考える顔をしていました。
そう、考えることが大事です。
考えて出した答えを否定することはありません。安保反対でも賛成でも。それを否定するからみんな考えることを放棄するんですよ。まぁ、それが悪い大人の狙いなのかもしれないけれど(笑)
私もそれなりに自分の意見は持っています。
でも、それを生徒に押し付けたり、誘導したりすることはありません。そういう「誘導する」教師は徹底的に軽蔑します。教壇に立ってはいけない人格だと確信しています。教える側の個人的な意見を「正解」だと言いだしたら、もう終わりです。だから、私は私の意見を言うときは必ず「俺はこう思うけどね」という言い方をします。対極の意見もちゃんと紹介します。
こういうことを、大人がちゃんと子どもに話してやる責任というのも、私は存在しているのではないかと思います。
英語の指導のわずか5分程度の一幕。
でも、いろんなことをグルグル考えてくれている生徒に、頼もしさも感じた数分間でした。
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