5分でわかる

その昔。
いわゆるヤンキー上がりみたいな子を預かったことがありました。高校3年生。
真面目に勉強したいと言うし、悪さをするような感じでもなかったので、私との約束が守れなかった時はバイバイねという条件で預かりました。結果的には一度も問題を起こすこともなく、実に真面目に勉強をして卒業していきました。

その彼。
英語の初回の授業のことは忘れられません。中学のまとめみたいな、基礎の基礎ってプリントを渡して、まずやってみろと言ってしばらく見ていると、全く動く気配がありません。30分経ち、1時間が経ったところで「大丈夫か?」と声をかけると、
「何を言っているのか、全くわかりません」
と。え? お前高3だろ? 中学の、しかもI am You areから分かんないの?
「はい、言ってる意味が全然わかんなくて…」

エライことになったぞ、と思いました(笑)
そこから、私が中学生用に解説したVTR・32本を一つ一つ見てもらってノートを取らせ、その後練習問題をやるということを始めました。高3ですよ。

そのうち、これまた衝撃的な事実が明らかに。
その子の通う学校は、正確には高等専修学校で、通信制の高校を同時卒業する学校。学校では電気工事士やら何やらの資格のための勉強ばかりで、何と高3のこの時期、英語の授業は学校には存在していないということが分かったのです。

え? つまり英語の勉強は完全にウチだけ?
参ったなぁ。
学校の授業も少ないので、毎日結構暇ですというのものだから、毎日のように来させて、1本ビデオを見せて練習問題やらせて…を繰り返しました。32単元、1学期間で終了。このころにはだいぶ英語の仕組みも分かってきたようです。

そろそろ大丈夫かな?と思い、夏休みからはみんなと同じゼミの授業へ合流しました。すると何と、毎回の小テストで彼がダントツの1位。できるクラスではなかったのですが、それでもみんな半分以下しか取れないテストを毎回安定して8割取ってくるのですから大したものです。

6年間、学校でも塾でも英語を勉強してきた子が、1学期間32単元分の私の講義を聞き、練習問題をやっただけの子にあっという間に抜かされる… 何なんだろうなぁと思ったものです。結局その彼は2科目受験だったので選択肢が少し狭く、結局は帝京大学へ進学して行きました。田舎でパラヒラパラヒラと大きな音を立ててバイクに乗っていたような子が、それでも一応名の知れた大学に進学して行ったのは驚きました。
と同時に、長く勉強すればいいってものでもないんだろうなぁ… と思った事例でもありました。



つい最近、「漢文を教えて欲しい」と来た子がいました。学校で3回ほど授業を受けたけどよく分からないと嘆き、わざわざ漢文の授業を取ろうとしていたくらいでしたので、「見せてみな?」とプリントをもらうと、何だ、返り点の問題だけじゃないかと。「こんなもん5分だよ5分!」

で、わざわざ席にもつかず、玄関先のカウンターのところで本当に5分間、返点のルールとその意味、書き下しや訳文の話をしました。練習問題も「やってみな」と言って、宿題部分も目の前でやらせてしまいました。そしたらその子、本当に5分で全部分かったんですね。学校の授業3回聞いてもよくわからなかったのが、5分です。

学校って、何を教えているの?(笑) 

教える際には、「コンパクト」に教えなければダメだと思うのですが、どうも授業時間が先にありきで学習計画を立てるとなると、コンパクトに1回で要領よく教えるのではなくて、少しずつ紐解く方法になってしまい、結果的には大混乱に陥ることもあるんじゃないかと思うのですね。

その後しばらくしてから、またその子に「漢文どうなの?」と声をかけました。
すると、担当講師が横から出てきて、
「この子、本当に間違えないんですよ。よく出来るようになっちゃったんです」
と、マジ顔。本人もちょっと嬉しそう。よかったよかった。

1項目5分でわかるってのが理想です。
難しいことを難しく教えるのなら誰でも出来るんですよね。コンパクトに易しく教えるってのはなかなか難しい。でも、教えられますよ、だいたい。学校も、あんなに授業数要らないと思うんですよね… 

私の教務技術もなかなかのもんでしょう?って自画自賛(笑) 
いや、だって、誰も褒めてくれないからさぁ(笑)

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