なぜ勉強ができなくなるのかという検証の2つめ。
「イズムの教育と親のボキャブラリーの問題」というお話です。
勉強が出来なくなって塾に飛び込んでくる方はとても多いものですが、そもそも塾は「ネガティブ・コンテンツ」と言われ、病院と同じく「困ったら探す」ものだと言われています。ちょっと性質が異なるコンテンツとしては、「英語教室」「速読教室」「中学受験塾選び」はどちらかというとポジティブな理由で探すことが多いような気がしますが、その他はだいたいネガティブな理由で塾選びをされていることが多いのではないかと思います。
桜学舎の子供たちに明るい子、楽しく通っている子が多いのは、中学受験を経て、継続して中高と通い続けている子の数が多いことが挙げられると思います。つまり、ネガティブ・コンテンツであることが多い学年にも、ポジティブに塾を選んで継続してる子の率が高いので、全体的に「陽」の「気」が充満しているのではないかと思うのですね。 とにかく辞めないでよく通ってくれています。
さて、中高生になって困って桜学舎へ飛び込んでくる方の傾向を見ていますと、子どもが「なぜ勉強するのか」ということを全く理解していない、まぁ私たちからすると、言葉選びが良く無いかもしれませんが、「しっかり仕込まれていない」がゆえに、勉強しなくなっているというケースがかなり多く見られます。
これは保護者会でも申し上げていますが、受験をするしないにかかわらず、小学生までに学習に対する姿勢をキッチリと仕込んでおくことが「絶対的」に重要なのです。これは、学習のテクニックを身につけさせておくとか、受験勉強を徹底的に叩き込んでおくとか、そういうことではありません。
「勉強することは当たり前」
「勉強しない人間は絶対に失敗する」
「勉強すること、知らないことを知ることは楽しい」
「自分ができることを増やしていくことは大切なことだ」
そういうある種の「哲学」的なことを、人格教育の一つとして徹底的に仕込んでおくこと、これが本当に重要なんです。これは、若い頭、親の言うことをまだ素直に聞いてくれる年齢のうちにちゃんと真剣に伝え、理解させ、常識化させておくことが大切なのです。
時々、特にお父さんにこういう方がいます。
「小学生まではのびのびと遊ばせておく方針だ」
「勉強や塾通いは中学生からやればいい」
「自分の頃は、小学生時代は遊んでばかりいた」
きっとお父さんは遊んでいても、その遊びの中からたくさんのことを学べた優秀な頭を持っていたのですね。そしてお父さんの頃は、社会全体にもっと競争の意識があり、そもそも子どの数が全く違いますから、厳しい競争社会も存在していました。現実問題、入試がもっと厳しいものでした。そして、東京の特殊事情ですが、とにかく高校受験が盛り上がりません。形骸化した入試なので、頑張れば一発逆転というものではありません。ほぼ予定調和で終わります。近県や地方では高校入試が主流ですが、東京は中学入試が盛んなので、高校入試がその分煽りを食います。ですから、高校入試でしっかり厳しさを学んでくれるだろうと思っても、楽チンに何とかなってしまい、厳しさを心底感じることが無いまま大学入試を迎えるケースはかなりあります。お父さんの思惑は大抵外れる結果になります。
さらに、やっぱり中高生は大人の話、特に親の言うことはほとんど聞きません。一番「イズム」を伝えたい中高生が、親の話を全く聞いてくれないという現実に直面することになります。そういう現実に気づき、塾へ入れることになるケースが大半なのですが、その時点で塾へ来ても、すぐには子供も心を開くわけではありませんから、やっぱり改善に向かうには時間がかかったりします。
意外に、この問題で困っている方は、私立中学へ入れた方です。
もちろん、桜学舎以外で受験をされているケースです。桜学舎で受験した生徒は、いくら途中で少しダレたりしても、「塾長を怒らせたらヤバイ」というのはよく知っていますし、万が一私を怒らせて塾から放り出されでもしたら面倒だとも思っているでしょうから(笑)、ギリギリ、踏みとどまってくれます。やっとこすっとこでも、何とか勉強は乗り切るものなのです。
問題は、他塾で仕込まれてきた子です。
とにかく、他塾からきた子は、この「イズム」の教育が全然出来ていません。まぁ、塾とはそういう教育をするところではないのでしょうから無理もないのですが、そもそも「信念のない受験教育」を受けてくると、ロクでもないことになると私は思っています。もちろん、すでに人格教育がきちんとされている、意識の高いご家庭のお子さんなら、「テクニックだけ」「受験勉強だけ」を仕込むのが塾の仕事…と言って憚らない塾へ行っていても心配ないでしょう。
しかし、「大手塾なら安心」「合格実績の高いところへ入れておけばいいんでしょ?」的な感じで、よくわからないけど受験勉強だけさせたというような「普通のご家庭」のお子さんが、ちゃんと大人的な考えを醸成させてくれれば問題は少ないのですが、幼いまま、学習の意義も、姿勢も、常識もみにつけないまま受験だけを終えたりすると、本当に勉強も何にもしない、グダグダの中学生になってしまうことがかなりあります。それじゃダメなんです。
叩き込みで勉強させて、とりあえず受かるところへ入れておけば問題無し。そんな塾の出身者は何人もいます。そしてうちでは100%苦労しています。桜学舎で矯正をかけるのにだいぶ時間がかかっていますが、本当に見事に大転換をして大成功した子は既に講師に。そして、かなり性格も姿勢も変わって意欲的になった子もいます。イズムの教育は、とってもとっても重要です。
ではそのイズムを教育するのに、ものすごく気にして欲しいことは何か。
それは親御さんの「ボキャブラリー」です。
「お前は態度がなってない」
「そんなことじゃだめだ」
「本気でやってない」
大人が聞けば、何を言わんとしているかはわかるのですが、あまりに抽象的すぎて、子どもはどうしたらいいのか全くわかりません。結局どうしろっていうのさ?と言いたくなるのです。そのイライラ感はダイレクトに、
「うっせーな!」
「うざい!」
「わかってるよ、まったく!」
という言葉で帰ってきます。大人からすれば「わかってねーだろ!」「わかってんなら、最初からやれよ!」と言いたくなるのですが、要は伝わってないのです。ですから、ボキャブラリーとして
抽象的な精神論ばかりを言い続けても「無駄」なんですね。それは伝わりません。
やり方がおかしいとか、勉強量が足りないとか、そういう具体的なことを言い出す親御さんもいますが、これまたほぼ「うざい」「わかってる」で終わりますし、場合によっては間違った勉強法を押し付けてしまうケースもありますので、正直これはやめたほうがいいです。親御さんに必要なのは、そういう具体性ではないのです。もっと人生論的な話。
お父さんが仕事の上でも勉強を続けている話や、逆に勉強が足りなくて損した話、悔しかった話など、自分の体験を話して欲しいのです。説得力のある、ガンとくる話というのでしょうかね、否定しようのない現実をがっちり話してあげることが重要なんです。しかも、それは親御さんの主観で結構なんです。ただ、「お前には苦労して欲しくない」「お前にしっかり勉強しておいて欲しい」そういう「想い」がちゃんと本人に伝わればいいのです。
「勉強しなさい」
「お前の問題だ」
ではダメです。特に若いころ、幼いころはそう言っても伝わりません。
「お前のために親は言っている」
「親はお前に勉強して欲しいと思っている」
「将来お前が悲しい思いをしないために」
そう伝えて結構です。子どもも馬鹿じゃないので、ちゃんと伝えれば親の想いは分かっています。それが「親のため」ではなく、「自分のためなんだ」とわかっています。わかっていないようなら、相当な馬鹿なので、残念ながら諦めてください(笑) でも、そんな子、私は今まで見たことがありません。
わかってて反抗する子はいますよ、もちろんね。
でも、分かってるんです。
だから、まず親御さんが、親御さんの希望と想いをちゃんと子どもに伝えることです。大事ですよ、こういうこと。
この経験をしてきている子は、多少サボっても、どん底までは行きません。親御さんがちゃんと向き合っていることを知っているから、親から愛されていることを感じているからです。
ですが、思春期、反抗期に入ると、本当に面倒くさいです。
正直、時間がかかりますし、こじらせます。
ちゃんとイズムをインプットして、しっかりした意識を持った子に育てるためには、やっぱり小学生のうちからしっかりと教育をすること、そして親の想いや考えをきちんと正面から子どもに仕込んでいくことが何よりです。
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