大丈夫なのか?

最近、中学生の学力がハンパなく低下しているのを感じます。切実に。
これは公立の中学校の生徒の話。
私立の子はそれなりにやらされていますから、最低限の知識は身についていると感じますし、流石だなぁと思いますが、気になるのは公立の中学校の子。

とにかく知識がとても少ないのに驚きます。
そんなことって、普通に授業を聞いてるだけで「聞いたこと」くらいあるでしょう?ってなことも、生まれて初めて聞いたみたいな顔をしています。高校受験生に至っては、この時期特有の「問題演習」をしても、全然頭に入っていないので、知識を取り出すことがそもそもできない状態。もう一度知識の導入をしている子もいます。

地域の傾向もありますので、お問い合わせを頂いた際にはお話ししていますが、こちらも今年1年を踏まえて、来年度以降の塾のあり方を再検討するようになりました。

塾の授業は通常「週1回」です。数学が毎週何曜日とか決めますので、宿題も「来週までの宿題」となります。ですから、この時間内で全てをこなすことなど出来るわけがありません。

そもそも、塾というところは、学校の授業で30~50%くらいわかった状態で、「でも残りの部分がわからないようで…」という形で塾に来るのが基本です。ゆえに、塾で少し復習をして、すぐ問題を練習すると点数が取れるようになって来るわけです。この学習が少しうまく回り出すと、今度は少し予習ができ、学校の授業が復習になって来ると学力は顕著に向上します。

ところが、学校で授業を聞いてこない、つまり学校の授業が0~20%程度で塾に来ると、そもそも何も知らない状態ですから、もう一回やり直しです。まず解説授業で何がどうなってるのかをきちんと説明して、ノートを取らせたり説明を書かせたりしながら時間が過ぎて行きます。すると問題演習に回す時間が少なくなり、その分を宿題に回さざるを得ませんが、演習時間や宿題時間が解説授業に押されて割合が低くなれば、当然「教えてもらった!」と生徒の満足度は高まりますが、それに比して成績は思ったほど上がりません。

今までほとんどゼロでくるというケースは無かったので演習型の授業で対応できましたが、いよいよ「イチから全部教えなければいけない」というケースが頻発してきました。ここをどう解決するかが今後の桜学舎の課題であるように思います。ある学校では、生徒に教えるべき内容を「教えない」と言われたと聞きました。時間が足りないとか?? え? 目が点です(笑) またまたぁ、本当なの??と耳を疑いましたが、そういうこともあるんですねぇ。

「学校でどこまでやった?」
「学校でここは習ったでしょう?」
がだんだん通じなくなる現実。なかなか深刻でもあります。 

「電子辞書が普及したことの弊害に、『隣の文字を調べない』ということがあります。~中略~無駄な作業が、逆に知識を豊かにしてくれたのです」

とは、イラストレーターのみうらじゅん氏の「ない仕事の作り方」という本の中の一節。

現代っ子ゆえの知識の少なさ、知らなくても何でも携帯で調べればいい、グーグルで調べればいいという「ゆとりちゃん」の本領発揮なのかもしれませんが、結果的にそれが知識の足りない子を増やしているのは、やっぱり現場でひしひしと感じる現実でもあります。

以前の
「勉強が出来ない」
「成績が悪い」
は、実際は、
「練習が足りない」
というものでした。黒板授業を受けただけで「分かった気になった」「出来る気になった」だけで、実際の練習が足りないというものでしたから、塾へ来て「練習」をすれば成績がパンと上がる子が多くいました。

また、
「学校の黒板授業の補填で、また黒板授業を受けても結果は出ないでしょう?」
という理屈で、個別指導塾が全盛になりましたし、「自立学習」などという演習型の授業を展開する塾もありました。

今の
「勉強が出来ない」
「成績が悪い」
は、ちょっと質が違うように思います。
「そもそも知らない」
ゆえに、問題をやってみても全然出来ないという「出来ない」なのです。
ですから、塾に来て、まず、
「授業を受けて知識をもらう」
というところからスタートという子がかなりいます。

何度も言いますが、本人が聞いてないのか、学校で教えていないのかは分かりません。
でも、近隣に限らず、公立の中学校に通う子が、学習内容を「そもそも知らない」って状態になっているのが多くなって来たのは、ウチで見る限り現場の真実だってことです。

先日、面談をと飛び込んで来た保護者も、何事かと思いきや、そういう話題でした。昨年末からこのところそんな面談がいくつかあります。不安な保護者も増えて来たのでしょうかね。

さて。
どうしようかなぁ。
ウチに通って来てくれている子には、何とかその現実を打破する方法と環境を与えねばならないと思いますから、さてひと工夫ふた工夫が必要になって来ます。 いよいよ新しいことを考えねばならないのでしょうか。今の生徒に必要なことをちゃんと考えて、今後の運営を考えていかねばならないなぁと思う年頭であります。

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