過去問のやり方を間違うと命取りに

中学受験が終わり、高校受験、大学受験が真っ最中です。今日は都内私立高校一般入試日。みんながんばってるかなぁ…

さて。
このところ、過去問の扱いで様々質問を受けましたので、ここらでちょっときちんとお話をしておかねばならないと思います。

みなさんは「過去問」って、何でやるのだと思いますか?

まさか、まさか、過去問をやると合格するとか思ってませんよね?(笑)

過去問を解く意義はたった2つ。
1)過去の出題傾向の研究
2)実力測定

これだけです。
もちろん早い段階で過去問を入手し、見ておくことは「アリ」です。見て、分析研究して、何がどう出題されているのかを知った上で勉強を進めていけば、目的に沿った学習が出来ると言えるでしょう。

また、試験前に時間を計って過去問をやってみることで、実際に出題されたレベルの問題にどれだけ対応できるのか、当日難点くらい取れるのか、どこが不足しているのかを測定することができます。

この2つの理由から過去問をやるんです。

しかし、ここで大問題。
全く間違った使い方をしている人がいます。かなりいます。勘違いしている保護者もいます。
一番ダメなやり方は、

「過去問で勉強する」

というやり方です。

ここはしっかりと分かっておいてほしいのですが、過去問とは「もう二度と絶対に出ない問題集」なんです。もちろん傾向が似ていたり、同じジャンルの出題はあり得ます。しかしながら、さすがに今販売されている年度の問題と同じような問題を出題して来るということは、そうそう考えられません。むしろ毎年毎年同じ問題を出題してしまうようなポンコツな学校は大丈夫なのか?と思ってしまいますよね? 学校側もさすがにそれはしません。現在発売されていないような古い問題は使い回しがあるかもしれませんけど、少なくとも発売されている過去問と同じ問題、少々の数字替え程度の問題などは「出ない」と思って間違いありません。

ところが、過去問で勉強し始めてしまう子は結構多いのです。しかもそれは学校説明会などに行って、「過去問をやっておけば大丈夫です」「過去問から出題します」とか言われて来るんですね。

すみません、先生方、それ、やめてもらえませんかね?(笑)

子どもたちって結構真に受けるんですよ。ホント。学校説明会で過去問だけやってりゃ受かるって言われたと。だから、夢中になって何周も何周も過去問だけやる子っているんです。他の問題が出たら対応できなくなるし、何せ知識が増えないのでどうにもならなくなるんですが、うなされたように「説明会で言われたから」と言って、こちらの指導や学習なんか全く無視して過去問だけをやり続け、問題を覚えてしまい、100点が取れるようになったから合格できると信じて本番の試験を受けにいく子、ぶっちゃけ一人二人じゃないですよ、過去に見たのは。でも、100%全員不合格でした。当たり前ですよね。

過去問やっておけば受かるっていうのは、「そういう意味じゃないんですよ!」
過去問をやって、合格点が取れるようなら大丈夫だよ、って意味です。
でも、これを学校説明会で聞いて来ると、本当に過去問だけを指導して下さいって言われるんですよね。保護者からもこういう要望はよく来ます。ですから、受験校の先生、説明会で「過去問だけやっとけ」って言うのは本当にやめて下さい。お願いします。

入試問題というのは、たいてい全範囲から出題されています。ですから、一通りの知識と内容が身についている人間だけが「過去問」に手をつける資格のある人間です。単語は覚えていない、知識事項は頭に入っていない、公式は身についていない、つまり面倒なこと、コツコツと蓄えねばならない知識が全くないのに、「過去問」をやれば、頭に何も入っていないのですから全滅するに決まっています。そして出来ない出来ないと嘆く。

ものには順番というものがあります。順番通りにやるから成績が伸び、理解が深まるのですが、一足飛びに過去問だけやったところで出来るようになるわけがありません。理論上。しかも二度と出題されない問題なのですから、丸々暗記しても何の意味もありません。いや多少知識は増えるかもしれないので無駄とは言いませんが、的外れであることは間違いありません。

ましてや、早い段階ではまだ習っていないところ、学習していないところもあるのですから、そもそも解けるわけがないんです。なのに過去問をやってみろとか言ってやらせてしまう大人がいます。これも、勉強のイロハが全然分かってないんですね。一番やっちゃいけないパターンです。せっかくやるなら、基礎的な計算ドリルとか漢字学習とかをやればいいのに、過去問なんて絶対にダメです。

過去問をやるのは、受験前3ヶ月から。一番早くてそれくらい。過去問は最後の最後!一通り終えてからです!それまではきちんとスタンダードな学習をして、知識増強に努めるべきです。ただし、入手しておくことは重要です。その学校にいくぞ!という目標設定の意味と、問題研究でチラチラ見る意味があります。また、過去問は直前期になると売り切れてしまうことがありますので早めに入手する必要があります。

桜学舎では過去問は入試3ヶ月前まで「禁止」です。
やるなと。
頭にインプットする勉強が終わってないのに、「問題演習」というアウトプットばかりをやっても、入ってないものは出ませんから出来るようにはなりません。勉強をきちんとやっている人はこういうことを分かっているので学習の手順を間違わないのですが、学習経験が少ない子ほどこういう間違いを犯します。そして「わからない地獄」へ陥り、自滅していきます。

先日、早々に中学2年生に説明会を実施しました。早めに勉強するように頑張れ!って。今、中2がとてもやる気になってくれています。いい傾向。手順を間違わずにやれば、成績は伸びます。ただ、ちゃんと順序があって、やるべきことを順序良くきちんとやれば、出来るようになりますよ。

過去問は、ちゃんとどういうものなのかを理解して、活用すると大きな効果を発揮します。
使い方を間違わないように!

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