【夏期講習15日目】基礎を固める重要性

昔のことです。もう今大学卒業しているような子が、高校受験のときのお話。
2人、某都立高校が志望。
偏差値は60ちょっとくらいなので、なかなか優秀な学校を志望していました。優秀な学校を卒業されたご父母のお子さんでしたから、それなりのプレッシャーもあったのでしょうが、それでもよく勉強していた子たちでした。

夏期講習。
何はともあれ、基礎固めをしなさいと指示を出しました。都立高校、しかも自校作成ではない学校だったので、問題はシンプルな都立高校の共通問題。だから小難しいことをやることもなく、むしろ「いかに点数を落とさなないか」というところに注力して、基礎をがっちり固めることが重要なのです。これは中学受験であろうと大学受験であろうと同じこと。やっていない範囲がある場合は急いで「一通り」を終えてしまうこと、計算問題や基礎的な問題でポロポロ落としている場合じゃないわけで、そんなことをしていたら全然「雑な勉強」にしかならず、最後の最後で全然力にならないってのは受験の常識。基礎を固める重要性をお話したのですが、一人の子の親御さんはどうしてもそれを聞き入れませんでした。

「うちの子はレベルの高い学校を受けるのだから、発展問題にしてくれ」

そう言われてしまえば、もうやらざるを得ません。そうですか、とその時点で私達は責任持ちませんよという話をして、「発展新演習」というテキストを用意した記憶があります。さて、それをやらせてみると… 出来ない。本当に出来ない。難しい。「こんな問題やる必要ある?」ってくらい難しい問題が入っています。私立の最難関にも対応するようなテキストなので、ピント外れな勉強になってしまうなぁと思いつつ、仕方なくやらせました。結果、成績は伸びず、むしろマイナス。勉強に対する意欲も半減しました。そして合宿も、「わざわざそんなところまで行って勉強する意味がない」と言って来ませんでした。

もうひとりの子は、このあとに飛び込んできたのですが、同じ学校を受験しました。素直に聞いてくれて、急ピッチで仕上げたにしては基礎がしっかりと固められた気がしました。

結果。
夏に無理に発展問題をやり、停滞してしまった子は都立不合格。
基礎重視でやった子は都立に合格しました。

その後、合格した子は神田駿河台の大学に進学し、今でも桜学舎の講師として働いています。就職も決まって、あとは有終の美。傍から見て、良かったなぁと思っています。


夏になるといつも思い出します。しっかり基礎固めをしないとなぁと。
時々、自分で買った問題集や、ご家庭でやっている問題集を持って質問に来る子がいます。その問題を見ると、「今こんなことやらなくていい」「そんなことやる前に、オマエ1番の(1)間違えんなよ!って言いたくなる子が多いわけです。9月以降に、「こんなこと知らないのか!」とならないように、今まで学習した単元や、実はよくわかってないというところをきちんと復習しておくことが、9月以降の伸びを左右します。

「出来る子」だと思っていたのに、実際面倒を見てみると穴だらけで全然ダメじゃん!って子も多くいます。特に!大規模な集団指導の塾から転塾してきた子は、授業を受けてわかったつもりでいても、過去のものをすべて忘れ去っていることが多々あります。毎回のテストや毎回の成績を乗り切るので精一杯で、以前やったことを全部「使い捨て」しているので、総合問題のテストになった途端に成績が下降するのです。これが一番多いパターン。

だからこそ、基礎をきちんとやらねばならないのです。
「基礎」とは、易しいということではなく、「ハイレベルな学力を支える土台」です。
基礎が盤石でない建物は、小さな地震で倒れます。建築においても、基礎工事がいちばん大事で、時間もかかります。上モノはどんどん建つものです。

基礎が積み上がるかどうか。
これが今夏の勝負なのです。 

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