自由になれ

IMG_7877文科省の策略はなかなかうまく行ったようで、某業界誌の報道によると、地方の私大の定員割れが解消してきているといいます。充足率が都市部を上回るところもあって、逆に都区内の大規模私大は2001年以来初めて定員を割ったそうな。


知らない方は驚くかも知れませんが、ここ2~3年、都区内、特に山手線内の有名私立大学は、文科省からのお達しで、

「ほぼ定員通りしか合格者を出してはいけない」
「定員を超える生徒が入学したら助成金カットするからな!」

という脅しにも似た締め付けがあって、一般入試ではびっくりするほど不合格になります。 今までなら「上智は厳しいかも知れないけれど、青学と立教は取れるだろうなぁ…」などと思っていたような子が、東京工芸とか東京家政なんて大学まで落っこってくる始末。結局区外や郊外は受かるので、今年は東海大へ行く率が非常に高かったものです。また、まんまと策略通り、諏訪東京理科大や酪農学園大なんて進学もあって、東京を仕方なく追い出される子も多かったようです。

涙、涙の受験。
御茶ノ水あたりの予備校は満員で、他所の校舎で受け入れなんて話も聞いています。

で、「平成版人返し令」みたいなやり方で地方に学生を追い出して、地方の大学を潤わせて一体何の意味があるのかと、一時期Twitterでは大荒れ。当時の柴山文科大臣の責任を問う署名活動まで行われたほどです。完全に地方に学生を「送客」することが目的だったにもかかわらず、柴山氏はTwitterで、

「別に地方創生が目的でじゃないし」

なんて公言するから更に炎上。
まぁ、今や完全に火消しされて受験生は諦めムードです。

だけれども、これにはどうにもこうにも怒り爆発の裏事情があって、結局推薦入試で上位大学へは行けているのに、一般入試で受けると落ちまくるという構図になっているのが大問題なのです。

近年、どこの高校も進学、進学とうるさく言われ、塾・予備校まで放課後指導に入り込む徹底ぶり。特進コースや更に上のコースが設置される力の入れようなのですが、こういう子達は学校の方針で、推薦入試は受けないということになっていることが多いもの。推薦入試で安全策を取らず、一般入試で上の大学を目指せと言われるのです。

ところが、上記のような事情なので、一般クラスで学校の成績を良くして推薦入試で受験した子は早慶やMARCHへ合格するのに、特進クラスで3年間勉強漬けになって努力をしてきた子たちが一般入試で全滅し、大東亜帝国のような大学へ行くことになるケースが多発… 要は頑張った子が全然報われないシステム。実力評価ではなく、「受ける試験の種類」によって明暗が分かれるシステムを作り出してしまったところに大問題があるのです。

いっそ、推薦入試を全廃した上で、実力試験のみで定員厳格化を義務付けるならまだ理解を得られたのかも知れませんが、これじゃ一般入試組が完全に不利。悲惨すぎます。

そもそも、文科省って、望まず、絶望とともに地方の大学へ進学し、有意義な学生生活を送れるとでも思っているのでしょうかね? 人は増えても、田舎は「絶望の地」という烙印を押されることになりやしませんか? 今年、ウチから地方大学へ進んだ子が例年になく多いのですが、もちろんそれなりに楽しんでいるものの、友人たちに共通するのは、やはり敗北感漂う大学生活であることは間違いないようです。

今の文科省には、「人間」というものを理解できる人はいないのではないかと思います。NHKの前に文科省をぶっ壊す必要があると思うのですが(笑)

そして、つい最近報道された、「新試験を利用しない大学にはペナルティ」を検討という記事。結局文科省ってコレ。定員厳格化の時も同じ、言う事聞かないと罰を与えるぞ! これが文科省の教育を端的に表している。

そんなネガティブな地方進学なら、いっそ高校から全国進学を可能にし、地方の高校へ進学する子には多額の助成金を与えて、半移住くらいのムーブメントにしていけば地方創生なんてあっという間に出来るんじゃないかと思います。

現にしまね留学がそれを体現し、全世代が人口減少する島根県において高校生人口だけが増加するという驚異的な結果を出しているじゃないですか。しかもかなりの確率で「ポジティブな進学」です。ここに助成を出さない意味が分かりません。

文科省ってやることなすことズレててセンスががないと感じます。
古くはゆとり教育、学習内容3割カットの時代から、総合学習だ、調べ学習だが始まり、その揺り戻しが来て、プログラミングだ、小学生英語だ、大学入試新試験だ…

何かうまく行ってるんですかね?(笑)
校長会が大学入試新試験導入に異例の申し入れをしたとか、つい最近はこの何でも詰め込むカリキュラム変更で現場の先生からは、ついに「やってらんねー!」と怒りの声が飛びしましたよね。みんな思いつきのように上から突然降ってきて、現場が頑張れみたいな風潮があるのでしょうか?

大学入試じゃないんですよ。
高校や、下手すりゃ中学、小学からなんですよ。
そこにお金を注ぎ込めば、もっといろんなことが起きると思います。
教育の選択の幅も広がります。
まさに個別最適化じゃないか!

だから、私は生徒たちにはいつも言っています。

「大人の都合に踊らされてんじゃねーよ!」

勉強し、賢くなる意味はコレしかありません。

「自由になる」んだ。

あらゆる束縛から逃れる知恵と力を手に入れるため。
どこで学び、何を学び、どう生きるかを、文科省に踊らされるなんて、まっぴらごめんです。
誰かの都合で生きるなんて最低です。

だから勉強しろ。
自由になれ。

高校生にその真意が伝わっているといいのだけれど…
そして地方留学への助成は絶対だと思うけどな。

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