きっかけは慎太郎の机から、大量の宿題プリントが出てきたことだった。
授業の度に出される宿題プリント。毎回提出して丸付けをされて返却、そしてファイリングされているはずだったが、その白紙のプリントが大量に慎太郎の机から出てきたのだ。しかも算数も理科も社会も。比較的好きな国語のプリントはどうやら全てやっていたらしく、だから問題の発覚も少し遅れたのだった。
授業の度に出される宿題プリント。毎回提出して丸付けをされて返却、そしてファイリングされているはずだったが、その白紙のプリントが大量に慎太郎の机から出てきたのだ。しかも算数も理科も社会も。比較的好きな国語のプリントはどうやら全てやっていたらしく、だから問題の発覚も少し遅れたのだった。
ふつうであれば、もしかしたら、「こら!」と少々とっちめて、全てやらせれば済んだ話だったかも知れない。しかし、詩織の不安が募っていたからなのか、思わず大きな声が出てしまった。
「いい加減にしなさいよ!」
大きな声がリビングに響き渡った。中学受験生活が始まって、初めて上げた大声だったかも知れない。もちろん今までも叱ったことはあったし、だんだん日々喧嘩腰になっていたのは否めない。しかし、つい出てしまった声の大きさに、詩織自身も驚いたが、もうその時は止められなかった。
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