以前から入谷の浅見に勧められていた、朝比奈あすかさんの「翼の翼」、どうも最近ゆっくり読書する時間が取れなくて、途中まで読んでは止まっていたのですが、ここしばらくペットクリニックで長時間待たされることが多くあったので、いい読書時間になっていました。
私のKindleの中にはまだまだ読まねばならない本がたくさん入っているのですが、Kindleの中ですら「積ん読」が始まってしまっていて、興味深い本はたくさんあるのですが、現代人、なかなか読書に向かえないものですね。本を読む時間があるくらいなら仕事…みたいな私の生活も良くないのだと思いますが、一番読書機会を奪っているのは「移動時間の少なさ」でしょうね。カフェに本を持っていくくらいの時間的・精神的余裕は持ちたいものです。
さて。
登場人物は翼くん。
八歳。
十歳。
十二歳。
という3章からなる小説ですが、なかなかリアルで身につまされる読者が多かったのではないかと思います。特に大手塾で受験を経験した方や、現在大手塾で奮闘されている方は、あまりのリアルさに泣いたり、ゾッとしたり、胸がキュッとしたりした場面が多いのではないかと思います。
「エイチ」と呼ばれる大手進学塾で中学受験を志す翼くん。母親は最初は「ものは試し」みたいな気分で受験生活に入りますが、徐々に「謎のママ友情報」に少しずつ踊らされていったり、まさに私が提唱する「ゆる中学受験」みたいなママ友ブログに依存していったり、みんなの動向の読み合い、塾の先生との確執、成績低迷の悩み、思春期に差し掛かりそうな子どもとのバトル、子どものカンニングや嘘、祖父母の教育方針との乖離、そして夫婦間の断絶、そしてリカバーなど、本当に中学受験であり得るトラブルや悩みがてんこ盛り。
「こんなの、小説の中だからでしょう?」
と、外野の方は思うでしょうね。
でも、これ、実際に経験している方からすれば、全部「あるある」です。いやはや、恐ろしい。実感・共感をもって読んだ方も多かったのではないかと思います。
それでも私が一番グッと来たのは、最後の場面。
そう、合格発表のシーンです。どういう結果になったかはネタバレになってしまうので書きませんが、それでも「いい結果」にはなったのだと確信します。夫婦がいろいろなことに気づき、また反省もして、そして「これで良かったよね」という結果を得ていく、本人もスッキリと受験を乗り越えて、自分の受験としてその結果を納得して受け入れ、次のステージでまた羽ばたけるように進学していく、それこそが本来の受験でしょうし、そういう成長を得ること、またこれから来る多くの困難に対して、勇気を持って立ち向かっていく術を身につけること自体が、受験を乗り越える大きな意味になってくるのではないかと思います。
まぁ、この本の中にあることをなるべく経験して欲しくないと思って、我々は「ゆる中学受験®️」を勧めていますが、それでもやっぱり親御さんは色々悩み、苦しみ、本人ももがきながら受験をするものです。多少のデフォルメはあるものの、受験生保護者のメンタルの疑似体験としてお読みいただくと良いかな?と思っています。
【ゆる中学受験®️は進学個別桜学舎!/上野桜木教室&入谷教室】
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